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余りにも愚かな質問が回答者を怒らせる [困った業者]

 前回の記事でこういうコメントを頂いた。ご本人の許可は得ていないが差し障りはなかろうという判断でここに掲載させて頂く。

こんばんは。

修理依頼の電話で原因なんですかって聞かれる事もありますよ( ´∀`)

知らねーよ( ゜Д゜)と言いたいです。

 全くもってこれは俺がいつかここで思い切りぶちまけたかったこと,そのものズバリだ。俺は常々,いつかここでこういう類いのバカ共の生態を暴き立ててやりたかったのだが,何か書こうとすると段々頭に血が上ってきて作文どころではない心境になってしまい今まで手を付けられずにいたのだった。

 同業者の修理屋に限らず,近年多くの人の思考するエネルギーが低下した最大の要因は携帯電話の普及にあると常々俺は考えている。スマホの普及はそれに輪をかけて人を横着にした。
 その根拠や経緯をここでは詳述しないがとにかく,手近な誰かを取っ捕まえて何を質問しても全て即答してくれるに決まっていると思い込んでいる大馬鹿野郎共がここ数年俺の周辺には急増しており,俺は段々怒りっぽくなってきているのだ。

 例を挙げればきりがなく、それこそバーゲンセールをやってもいいくらい膨大なのだがここでは一つ取り上げる。

 その人物は某メーカーに勤務する実務経歴の長い、職種で言うと営業技術、つまり納品現場の施工管理に従事するのを主な生業としている。
 ここで話題は横に逸れるが,厨房屋のうち納品現場の施工と機材の修繕のどちらをやらせても一流という人はいない。いたとすればその人は全く例外的な存在でそれだけのスキルがあるのだったら厨房屋みたいなクソ業界にいることは余程運のない人生を送っていることを表しており、ほぼ例外なく厨房屋というのはどっちか片方をものにするのが精一杯なままでキャリアを終える。
 そして,業務用の厨房というのはバイヤーなりユーザーなりも大して見識のない者が多いのでこういう実体をわかっていない。とにかく,作業衣を着ていて軍手を穿いていて道具箱をぶら下げていさえすれば建築構造から機材の内部構造やメカニズムまでの全部を掌握しているに違いないという、何の根拠もないバカな思い込みを持っている。
 業者も業者で,日頃は現場施工ばかりしているような職種の人物とか,燃焼器具の修理しかしていないようなサービスマンが,たまたま冷蔵庫の凝縮不良が起きている現場に居合わせてコンデンサーの清掃を,それも誰かに教えてもらってやっとこすっとここなした程度の出来事がたった数回あった程度で自分は冷機器関係の修理を全て体得したかのように確信するバカが物凄く多い。

 要するに,業務用の厨房機材という業界は機材を収めた側もそれを購入して使用している側も,何にもものをわかっていない大馬鹿者が圧倒的大多数である世界で,恐らくこれから先も変わることはない。
 多少わかりやすく例を引くと,自動車学校の教官が教えることは運転の仕方であって自動車のメカニズムを微に入り細にわたって教示するのは彼の本分ではないし,それが出来ないことは職業人として特段恥ずべきことでもない。故障の整備は整備士という別の職種の人達がいるのであって,自動車の所有者は自分の車に不調があったからといって自分が通った教習所に行って自分の教わった教官にその解決策を相談するようなことはない。不調な車は整備工場に持ち込んで問題を解決してもらうのがごく当たり前の認識として定着しているだろう。

 ところが,業務用の厨房機材という世界はそうではなく,上の例でいうと自動車学校の教員に車の不調を解決してもらおうとする、ここに使用者のバカさ加減がある。
 バカな構図が更に続く,自動車学校の教員が自動車というハードウェアについて教えることといえばせいぜいタイヤの交換の仕方とか,ファンベルトのテンションの調べ方とか,クーラーントやオイルの残量の調べ方くらいなものだろうが、厨房屋というのは自動車学校の教員である者が出来もしないのにエンジンやトランスミッションの分解整備までを請け負おうとする。彼にそんな知識も技術もないのにとにかく請け負おうとする。要するに自分にその知識も技術もないから解決能力がないのだということさえ自覚できていないくらい頭が悪いのが大半の厨房屋である。

 ここでやっと,話を本題に戻す。
 それこそ,例を引けばきりがないが俺の携帯電話に連絡を寄越す同業者の中に「冷蔵庫が冷えないんですけど何が原因でしょうか?」とか「スチコンの電源が入らないんですが何が原因でしょうか?」とかいった類いの質問をしてくるバカが一人ならずいる。
 そしてそういう輩というのは大抵,修理に訪問したその現場から俺に電話をかけてきているようだ。依頼元からの連絡を受けた時点で自分に解決可能なものかどうかの思慮もなく,ただ脊髄反射的に、呼ばれたから行けばいいんだ,行けば何とかなるんだ程度の考えで行動しており、現場について実機を見てみるとチンプンカンプンで誰か都合の良さそうな奴に助けを求めている,そういうことだ。

 「電源が入らないのであればテスターを持ち出してきて配線図を拡げ,どこかで遮断なり断線なりが起きていないかを調べればいいだけの話ではないのか。原因とはつまり、遮断なり断線が起きているその箇所であってそれは現場であなたが調べるべきことだ。実機を目にしているわけでもない俺が具体的にあの箇所,この箇所と説明できる類いのものではないでしょう?俺は千里眼の持ち主ではないのだよ」と答えるとこの手のバカは大抵,憮然としたり焦り出したりする。逆ギレして「お客さんが困っているのになんでそんな意地の悪いことを言うか」と俺を詰るバカもいる。

 本当に,バカにつける薬はない。バカというのは大抵無自覚だが一端の自尊心だけはあるようで何か薬をつけようとすると自分がバカ扱いされていることに腹を立てるものらしい。
 冷蔵庫が冷えないだとか何かの電源が入らないだとか、質問が余りにも漠然とし過ぎているのだからこちらだって『色々考えられる』としか言いようがないのだということがわかっていないのだ。
 配管のこの箇所の表面温度が何℃だが正常なのかとか,このモーターの負荷電流が何アンペアだが正常なのかとかいった類いのことなら幾らでも回答できるが、冷蔵庫が冷えない原因は何なのかとか,オーブンの電源が入らない原因は何なのかとか,こういう圧倒的に漠然とした質問をしてくる奴というのはつまり,「私にはなんにも知識がありません」と白状しているのだということを自覚していない。 
 知識のない者がどこか外部の,解決能力を持った人に口頭で指図されながら自分はラジコンになって問題を解決できるなどと考えているとすればそれはバカの二乗というか,修理屋という商売を余りにも舐めている。電話口で口頭説明を受けただけで何でもかんでも修理できるのだったら誰も苦労しないわ。
 知識や能力のない者が機材の持ち主が困っている姿を目の当たりにしてるのであれば「申し訳ありませんが私はその問題を解決できません。わかる者を寄越しますから少々お待ちください」と辞去するのが正しい行動ではないのか、何故そう出来ないのか?

 ここで話をまとめたい。
厨房屋という商売は、俺を含めて業者の質は大変低劣であるが同じくらい使用者もバカだったり不見識だったりする輩が物凄く多いのだ。
 大体,修理の依頼をして現れた業者が自分の見ている前で虎の巻を拡げたり誰かに携帯電話でアホみたいに初歩的だったり漠然とした質問をしている姿を目の当たりにして不審や不安を抱くことはないのだろうか,(この人に任せておいて大丈夫なのだろうか)と思わないのだろうか。
 
 思わないんだな、バカだから。

 ふと思うが,プロフェッショナリズムという観念は昨今,物凄く衰退しているのではないだろうか。
タグ:修理 バカ
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ヤー公が言い分を聞いてくれないので困惑する(2) [困った業者]

前回記事の続き。
http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2015-09-09-1

 翌日,出勤した俺は領収書を鞄にしまい込み,露天商のところに集金に行く気満々で段取りをしていた。
 当時,携帯電話はおろかポケットベルでさえ一般的ではなかった頃なので連絡というのは全て固定電話で行われており,会社の始業直後というのはあちらこちらからの電話でてんてこ舞いになるのが日常的な風景だった。
 それで,段取りをしている最中,職場の事務員さんが俺の方をじろじろ見ながら消え入りそうな弱々しい声で応答している状態で俺と視線が合った。電話口では何か大きな声でがなり立てているのが向かいのデスクに座っている俺にもわかるくらいでかなりの剣幕らしいことは察しがついた。

 今,担当の者と代わりますので,と事務員さんは青ざめた表情で内線のボタンを押して「昨日の人,あの,お祭りの」と、しどろもどろになりながら俺に伝えたので俺は心臓が押しつぶされそうな錯覚を覚えた。
 何しろ30年も前のことなので,通話の内容がどういうものだったのかを一言一句まで思い出すことが出来ないのだが,物凄く緊迫した状況での出来事というのは人の記憶に何か空白というか穴ぼこというか,そういうものを形成してしまうのではないだろうか。
 その内容というのは,前日の修理が不首尾で状況が改善されていないから今すぐ来いというものだったことは覚えている。

 俺は物凄くダークな気分で現場に赴いた。露店の周辺には数人の筋者がいて剣呑な目つきで俺を睨みつけてきた。少しして親方が登場し,問題のひびが入った蓋は交換した方がいいのではないかと提案してきた。
 確かにそうですね,と俺は答え,事務所に戻って輸入元であるカルピジャーニ・ジャパンに問い合わせたのだが,その回答はまさかりで頭を叩き割られるくらい衝撃的なものだった。要約すると,

*そのパーツは8月現在,国内在庫がないのでイタリア本国からの取り寄せになる。
*本国はバカンスの最中で,業務の再開は9月中旬くらいになる模様。
*輸送方法は船便なので通関して入荷するのは10月末頃くらいに予想。
 
 俺は胃のあたりが鉛のように重くなった。入社して半年の下っ端社員である俺がこういう話をヤー公相手にしなければならんとは何と不遇な状況かと自分の運命を呪った。
 幾らヤー公とは言っても命まで取られるわけではないのだ,無理なものは無理と言い張れば引き下がってくれるに違いないと俺は自分を鼓舞しながらお祭りの会場に引き返した。

 しかし,凄みを利かせる露天商の迫力はそういう俺の言い分をいとも簡単に粉砕するのであった。その勢いに圧倒された俺はしどろもどろになりながら事情を説明するのだがヤー公のロックオンは大変強力で捕食する蛇のように俺を捉えて離さない。俺はもう、小便を漏らしそうな心境でヤー公の恫喝にビビりまくった。

 実はそこから先の成り行きを俺はあまり良く覚えていない。
ヤー公はとにかくこの機械を何とかせいと俺に迫って来た。
俺はその中身を一旦全部取り出し、ひびの入ったシリンダー周りの分解に取りかかった。
そこで何をやったのかを俺は思い出せないのだが、放免されたときには既に夕方になっていた。
放免された、ということは当時23歳の俺は何かをやって漏れるのを止めることができた、という事だ。何をやってしのいだのかは思い出せないが確かに俺は何かの処置を施してどうにか漏れるのを止めたのは間違いない。泣き落としだけで言い分を呑んでくれるほどヤー公は甘くない。
 ただし、前日の作業分を含めて修理代はもらえなかった。
 フローズンマシンは一台が終日使えずに売り上げに響いたのだから営業補償がないだけでも有り難いと思え、と言った言い分だったのではないだろうか。俺は物凄く疲労困憊しながらも何かしら命拾いしたような気分でグダグダになりながら事務所に引き返した。修理代がもらえなかった事について社内での叱責みたいな事は特になかったように覚えている。そりゃそうだろう。どうしても修理代をもらって来いと上役に言われでもしたら,いっそのこと退職届でも叩き付けて会社に販売責任があるんだからおまえが行って来いとか何とか怒鳴り散らしてやろうかと考えていたのだがそういうことはなかった。
 
 今はどうなっているのかわからないが本当に酷い職場だと俺は腹の底から当時の勤務先が頭に来た。一日のうちに色々なことがあり過ぎて大変緊張していたことは覚えているのだが人間,あまりテンションが上がり過ぎると所々記憶が飛ぶものなのかもしれない。(この項終わり)
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ヤー公が言い分を聞いてくれないので困惑する [困った業者]

 俺は常々,この業務用厨房の業界というのは本当にクソ体質だと言い続けている。30年以上も前から思い続けていていまだにさっぱり改善されないどころか悪化する一方だ。
 管理者画面で過去記事を眺めているうちに思い出したことがあったので書き残しておく。

関連記事名:バカンスのあおりを食う
記事URL:http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2012-08-22

 俺は23歳で世間様にデビューした。最初の職場は某ペンギンマークのサービスマンだった。しょうもない職場であり,仕事だな,というのは入社してから幾らも経たないうちにわかった。というか,会社訪問した時点で(これはしくじったかもな)と気持ちが冷えたのは事実だ。
 ある営業所に配属されて修理に回るようになり,青二才であるがために随分色々な失敗を積み重ねた。営業所というのはつまり商事会社であって,売り上げになることなら何でもかんでも見境なく手を付けるところだということもその頃知った。

 ある時,あれは夏の終わり頃だったと憶えているが,フローズンマシンというものの修理が俺に振られてきた。当時駆け出しの俺はそれが一体どういうものなのかがさっぱりわからないまま上役に言われた場所に向かった。
 口頭説明によればフローズンマシンとは溶けかかったみぞれアイスみたいなものを作る機械なのだそうで,取り出し口の蓋から中身が漏れるので修理しといてくれと実に簡単そうに言われたわけだ。
110105_184811.jpg

画像は本文とは関係ありません。


 車を転がして現場に到着し、車の前で言われた通りに待っていると何だか普通でない雰囲気のあんちゃんに声をかけられた。夏だというのに長袖シャツを着ているので俺は不審に思った。
 それで,機械はこっちにあるから見てくれと言われるままについていくとそこはお祭りの露店が並んでいる往来で,その人物とは露天商,別の言い方をすればテキ屋のヤー公だったことを俺はその時初めて知ってぶったまげた。

 働き始めてまだ半年かそこらのこの俺に,一体全体なんでこんな仕事が振られて来るのかと悔しい気分になった。相手がヤー公だとわかっていて,しかもそのことは隠しておいて新入社員の俺に社外品のこんな修理を押し付けるとは本当に汚い野郎だと俺は不愉快になった。
 実は,できればこんな仕事は願い下げにしてもらいたいと思い俺は社外品なので良くわからないと断りかけたのだが、その時長袖シャツのあんちゃんは腕をまくり上げて俺を睨みつけ,露店の奥にいたもっと物騒な感じのオヤジを連れてきた。もう,誰が見ても一目瞭然の本職だ。第一,そのオヤジの手には指の欠損がある。

「社外品だろうが何だろうが、俺はこの機械をお宅の会社から買ったのだから販売責任として修理はしてもらわないと困る」といった内容のことを本職は凄みを利かせながら俺に告げ、(もう逃げられない)とか(どうしよう)とか言う文句が俺の頭の中で渦巻いた。物騒なムード満載のオヤジだが言い分は筋が通っているので断りようもない。
 観念した俺がそのフローズンマシンを見ると,イタリア製,カルピジャーニの,商品名はもう忘れたがとにかく初めて見るものだった。シリンダーの蓋、取出し用のピストンが上下動する部分に亀裂があり,中の何と言うか,先に書いたように溶けかかったみぞれアイスみたいなものがジワジワと漏れている。
 俺は何をやっていいのかもわからずにとにかく,何とかその場しのぎが出来ないものかとない知恵を絞り,アクリル製の蓋の水滴を拭き取ってヒビの入った箇所にボンドだか何だかを塗りたくり,一応漏れが止まったようなのでその場を凌いで伝票を切り,翌日集金に来いとその物騒な感じの親方に言われてその場を逃れた。

 夜になって事務所に戻り,上役に成り行きを報告し,ああいう稼業だけどお金はちゃんとくれる人だからと言われて何となく安心し、翌日何が起きるのかも知らずに当時23歳の俺はアパートに帰って晩飯を食って寝た。(この項続く)
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肩すかし [困った業者]

 前回記事の顛末を書いておく。

記事名:気乗りしないオファーのこと
記事URL:http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2015-03-01

 結論から書くとこのオファーは流れた。
商売ネタが一つなくなった残念さよりも面倒事を回避できた安心感の方が大きい。これは決して負け惜しみで言っているのではない。

 今日,約束通りの時間にその業者のところを訪ねると整備の担当と思しき人物が気まずそうな顔つきで出てきて、上のようなことを俺に告げた。
 スチームジェネレーターの満水感知がされないのが俺への依頼内容だったが,他にも色々外装などに劣化や消耗があるので現地法人に送り返して整備してもらうのだという。機体は木枠にPPバンドで縛り付けられており,発送を待っている状態だったので俺は特に何か食い下がることもなく了解した。

 そもそも、リサイクルショップの作業場でスチームコンベクションの動作確認が可能なものかが俺には大いに疑問だ。
CM 101 rabljen.jpg

 上の画像の機種はCM-101といい、フルサイズのホテルパンが10段収納可能なサイズだがヒーター負荷の電気容量は18kwあるので発熱量が最大時には約53Aの線電流が流れる事になる。分電盤からの屋内配線VVFケーブルの太さは直径3.2mm以上で4mmでもおかしくはない。開閉器の容量は75A,電源ケーブルは14㎟を要する。リサイクルショップでそれほどの電気設備を備えているところは俺の住む土地にはない。

 実のところ、先日は生返事でオファーを引き受けはしたもののこれは安くならないな、と心配だった。件のリサイクルショップでの動作確認はヒーターの配線を取り外した状態で、制御回路と庫内ファンモーター位しかできず、本当の試運転はその機体が売れて設置工事が済んでからでないと不可能だから2回出かけなければならない。経費請求を2回に分けて行う事はできるのか。
 気乗りがしない、というのはそういうややこしさを勘案しての事だったので、正直言って今回のキャンセルには少し安心している。繰り返すがこれは負け惜しみではない。

 それにしてもふざけた連中だ。
取りやめなら取りやめで連絡くらい寄越しても良さそうなものではないか。どうも俺の知る範囲での中古品業者と俺は波長が合わない。その依頼はいつも突発的で、実地検分もろくにしていないうちから結論をせがみ、自分らの責任逃れのための伏線張りには余念がなく、プロセスの至る所にグレーゾーンがあって稼働後には必ずと言っていいほど何かしらの水掛け論が発生する。
 俺はなるべくこの手の輩とは関わらずに開業してからの時間を過ごして来たのでその手の揉め事に巻き込まれた事は大変少ないが、あちこちのメーカーから度々聞く伝聞ではそういう事が大変多いらしいのだ。

 しかし実相としては機材の購入希望者がまず最初にリサーチに脚を運ぶのはこれらリサイクル業者の店舗である。何と言っても印刷物の写真ではなく実体を間近に見られるのだからわかりやすいのだろう。しかしバイヤーというのはあらかた飲食店のオーナーであって機器類の専門知識があるわけでなし、ましてや周辺環境の知識があるわけでもない。ただ何でもいいから安いものが欲しいだけの連中だ。
 売る方も売る方で外観の美装はそれなりに行き届いてはいるものの、その機器の現在のメーカーや輸入元でのサポート状況だとか昨日パーツの劣化状況だとかいったところまでチェックが行き渡っているのかというと大いに疑わしい。大半の業者は買い取る時点まではその現場で動いていたから内部の機能点検までは確認しなくても現状渡しで大丈夫だろう、といった程度の憶測で販売しているのが実態ではないのか。
 現にこれまで、俺がこれまで何度か代理入札などで購入した事のある中古機材には必ず何かしらの瑕疵があった。色々書き始めるときりがないのだが、どうも俺にはこれまで一件を除いて、リサイクル業者というのはロクな手合いに会った事がない。
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気乗りしないオファーのこと [困った業者]

 何についても例外はあり,例えば技術力があってきちんとした整備を心がける中古厨房機器業者の存在を俺は疑う者ではないが,少なくとも俺の生息地にはそういう業者はいない。

 以前,コメットカトウの旧型のスチームコンベクションの整備を行った地元のリサイクル業者からおよそ一年ぶりくらいに整備の依頼が来た。金銭面については物わかりのいい業者だがその見識は大いに疑わしい。

関連記事名:理科の時間だぜ
記事URL:http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2014-01-29

依頼の機器とはドイツRationalのCM-101というスチームコンベクションオーブン(以下,スチコンと略す)で、こういう姿をしている。
CM 101 rabljen.jpg


 日本で最初に普及し始めたのがこの機種で今から四半世紀以上も前のことだ。
当時,国内の厨房機器メーカーには自力でスチコンを開発どころか発想する力もなく,現在に至る迄全ての国内メーカーはRationalか,そうでなければFMIが輸入元となっている同じくドイツのコンボテルム社のオーブン、コンボスターの劣化コピー機をこそ泥のようにして作り続け,日本という閉鎖的な島国市場で「だけ」チマチマと売り続けている。日本の技術が素晴らしい,世界一だなどと喚き立てて中国製の工業製品を嘲笑したがる奴が近年は多いがそういう奴には大体,理工系の系統だった勉強をしてきたとか、技術職としての経歴を積んできた奴はいない。そういう言い草の根拠は大体,テレビで見たどっかの町工場のドキュメンタリー番組に安っぽく感動してのぼせ上がったことに由来している。
 大体,「日本の技術」と言ったってそれは一体どういう工業分野をさすのか。優れたものは勿論沢山あるがそうでないものもある。当たり前の話だ。現に俺が年に一度くらい会って晩飯を食う東京在住のラショナル社のスーパーバイザーは国内製品などいつも鼻先でせせら笑っている。

 脱線したので話を元に戻す。
 この機種は20年以上も前に生産終了しており,現在,補修パーツが完備されているかが疑わしい。俺が会社員だった頃既に幾つかの補修パーツについては在庫払底のために今後のサポ−トが出来ない旨のアナウンスがあった。
 更に困ったことには現在,俺の周辺をみる限りではこの頃のラショナル製品を申し分なくいじり倒せる修理屋はほぼ絶滅に近い。CM-101が市場で沢山稼働していた頃、現役第一線だったサービスマンの年齢層は現在では50歳以上となっているはずだ。
 俺が会社員だった頃にトラブルシューティングの手ほどきをしてくださった室長はとうの昔に定年退職しているし、同年代で腕前を競い合ったサービスマンの中には既に存命していない方迄いる。現在30代のサービスマンにとっては触ったことも見たこともない者も珍しくない。そういう機種だ。

 一体この中古屋は,そういう状況をどれくらいわかっていてこの機種に関わっているのか。わけもわからずにとにかく買い取り,面倒事は携帯電話一本で誰かに丸投げして押し付けた上でとにかくミソでもクソでもいいから一応商品の体裁を整えてから何かしらのマージンを乗っけてどこかに売り抜けたい,どうせその程度の魂胆だろう。いい商売だわ。

 商売として受けた以上,手抜きの嘘八百、舌先三寸で点検料だけを頂いてさようならなどということをするつもりはないがしかし、仮に万事上首尾となって目出度くし運転成功となったところで,四半世紀も前のスチコンを一体幾らで売りつけたいのか。いつもこのブログに俺は書くが厨房機材にビンテージなどという価値観はないのだ。
 他人の商売に対して越権みたいなことをあまり言いたくはないがこんな代物は売る方も売る方だが買う方も買う方だな。どうなろうが俺は知らんぞ。明日,その個体と俺はご対面することになる。
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無数にある失敗のうちの一つを晒す [困った業者]

カテゴリーにある「困った業者」とは、他でもないこの俺のことだ。

 これ迄このブログで俺は幾つか自分の修理記録のようなことを記事にしてきた。
それらを読まれた諸兄のうち幾人かはこの俺が立派な腕前を持つ修理屋だという印象を持たれているのかもしれない。しかしそれは大変な誤解であって現実の俺は年がら年中失敗だらけの,出来の悪い修理屋に過ぎない。

 あるいはこう考える方もおられるだろう,(こんな修理作業の記事をアップしているけど,こいつは本当はこの数倍,手こずったり失敗したりしていて,自分に都合の良い,うまくいった事例だけを取り上げているのではないのか?)その通り,あなたの見方は全く正しい。俺の仕事は年がら年中,いつまで経っても狼狽と憔悴の連続だ。
 誤った所見については枚挙にいとまがない。そして機械の修理は俺の仕事であって趣味ではない。とにかく壊れたものを機能させ,再び動かさなければ事態が前に進まない。どこ迄も正確で迅速な診断能力と作業手順であらゆる出来事を処理できればいいのだが現実にはいつまで経ってもそうなれずにいる。実にしばしば迷い,手こずり,経費で脚が出る。しかしそれでも依頼は日々舞い込み,俺は片付けなければならん。

 夏場に冷媒漏れの障害が出たエアコンの修理で、これは以前,記事にしたことがある現場だ。
(関連記事)
ハイエナ:http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2014-04-26
ハイエナ行為がメーカーにバレた:http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2014-05-02

 エアコンは日常俺が触れる機会がなく、機能や構造などはろくに頭に入っていない。
それでも色々事情があって引き受けることにした。理由を書き始めると長くなるのと本筋からそれるのでここでは割愛。
IMGP0215.jpg

 製造元は東芝で,このコンビニが開店以来ずっと動き続けてきた。20数年落ちの個体で、既に本部指定のサービス機関であるメーカー筋では匙を投げられた格好となったので俺のところに依頼が来たのが前回記事の時点でのこと。
 室外機の上部に銀色の筒のようなものが見られる。これは灯油を燃料とする燃焼筒で,暖房運転時に冷媒(正しくは暖房運転時には熱媒と呼ぶのだろうか)を加温するためのものだ。使用冷媒はR-22で、当時はこういう加温機能を設けないと満足な暖房性能を得られなかった。時代の反映と言うべきか。

 東芝から配管の系統図を貰い,にわか勉強に励んだ。
既に憶えていて自分の抽き出しになっているようなことを繰り返して食っていけるのならもっと楽なはずなのだが,とこのごろつくづく思う。 
 うろ覚えで頭に入ったには,この手のヒートポンプは暖房運転時にまずコンプレッサーが回ってポンプダウンを行い,続いて上部の燃焼筒で加温が始まるというものらしい。
 故障個体の挙動はポンプダウンの際にコンプレッサーが動作せず,燃焼筒内の冷媒が不足しているため過昇温というか空焚きのような状態を検知して保護停止がかかる。ということは機体内のどこかにあるマグネットスイッチが働いておらず,コンプレッサーが動かないわけで俺はあちこち外してその部品の在処を探しまわる。
IMGP0216.jpg

 付属の配線図は20数年屋外にあったその経時変化で既にボロボロになっており,まともに読めない。配線を辿りながら探しているととんでもなくややこしい場所にそれが着いていることが判明した。
 何らかの理由でサーマルトリップでもしているのかと俺はシャンク長が300mmくらいのドライバーでマグネットのプランジャーを強制的に押し込んでみるとコンプレッサーは普通に回る。
サーマルトリップの状態を確認したくてせせこましく配線の入り組んだ内部をかいくぐるようにして先のドライバーを差し込んでみたがどうも押した感触に確信が持てない。

当然ながら,マグネットスイッチは東芝製のものが使われている。そして,俺の住む土地に於いては東芝製のマグネットスイッチというのはあまり一般的なものではない。サーマルの復帰ボタンの感触は体感的にはわかっているつもりであり,製造元がどこであれ似たようなものではないかとも思うがやはり普段見慣れていないものだと確信が揺らぐ。
 そもそもこのサーマルは復帰方法が自動なのか手動なのか,マグネットスイッチは物凄く奥まったところについているし,埃まみれなので目視でそれを確認できず,手も入らない。
 常識的に考えれば,手の入りにくいところについているマグネットスイッチであればそれは自動復帰としておくべきだろう。しかし自動復帰というのは保護装置本来の責務を果たしているとは言えないやり方で,もしも付加の状態が良くなく,繰り返し過電流を流し続ければポンプレッサーを焼いてしまう。

 俺は頭の中を整理する。
 マグネットスイッチのサーマルに出力が現れない、マグネットコイルのプランジャーが働かない,その理由は・・・・・・
(1)サーマルリレーの破損,これは復帰方式を東芝に問い合わせ,手動復帰であることを確認したので問題なし。
(2)電磁接触器部分の接点焼損による不良,これは先に書いたようにプランジャーを強制的に押し込んでみると大体理屈通りの電流値でコンプレッサーが動くので問題なし。
(3)非常に稀だが,ヨーロッパ製の機器類で時たまある状態で,マグネットコイルが断線,乃至はレアショートを起こしており吸引力が生まれない,または不足する。

 俺はボロボロになった配線図を目を凝らして凝視し,マグネットコイルの接続経路を探した。それは制御基盤のある端子に接続されており,AC200Vで動作することがどうにか判読できた。
 薄暮時が迫ってくる屋外で俺はどうにかそのコネクターを見つけた。基盤からの出力があることを確認した上でマグネットコイル側の導通を測ると完全なオープン状態でここが断線していると俺は判断した。

 そんな手順で所見は出たが,何せ20数年前の機種であり,同一の補修パーツが既に東芝にはない。
代替品として供給されているマグネットスイッチを取り寄せてみると中身はなんと,電磁接触器の部分だけでサーマルがついていない。慌てて東芝に問い合わせをしてみると出荷は間違っていないという。サーマルは別に発注が必要なのかと質問を重ねるとサーマル単体での出荷はしていないという。じゃあ処置としてどうすればいいのかと問いつめると何とも不明瞭な回答で俺はいい加減頭に来て電話を切った。

 たかがマグネットスイッチくらいで一体何をそんなに勿体をつけなければならないか。これがどこか分けのわからない製造元ならいざ知らず,天下の東芝がこんな対応なのかとがっかり来た。
 そう,たかがマグネットスイッチなのだ。そんなものは俺の住んでいる田舎町の電材屋にいつでも在庫しているではないか。俺は代用品として富士電機製のサーマルを買い,既に東芝から取り寄せた電磁接触時と組み合わせて使うことにした。
 
 あらためて現場でエアコンの分解を始め,マグネットスイッチの取付け箇所に迄辿り着くのは結構難儀した。年がら年中いじっているのであればもう少し手際よく出来たのではないかと思う。
IMGP0213.jpg

 室外機右側の上部にある制御裏盤の真裏に横向きに取付けられている。日常こういうものを数理されている方はさぞかし大変だろう。

 取り外したマグネットスイッチを見て俺は驚いた。
古い形式のマグネットスイッチでは良くあるやり方だが,サーマルの復帰端子(b接点)と電磁接触器のコイル端子の片方がごく短いジャンパー線で結ばれている。取り外したマグネットスイッチはそのジャンパー線の末端,Y端子をカシメたあたりで断線しているではないか。

 基盤への接続端子側からコイルの導通を測ってオープンだった真相はそういうもので,取り外した現物をこうして調べてみるとコイル自体に断線はない。
 俺はジャンパーを作り直して,舌打ちしながら復旧を進めた。数千円とは言え,あわや交換しなくていいパーツを交換するところだった。仕入れたマグネットスイッチは問屋に返品がきくのだし,店舗のオーナーに対してはマグネットスイッチの分を差し引いて修理代を精算し直すことでご了解を頂いた。
 オーナー殿はせっかく仕入れたマグネットスイッチの返品は手続が面倒だろうし,そのエアコンはもう20年以上も動いているのだからこの際交換してくれと有り難いお言葉を頂いたが,既に屋外は真っ暗であり,更に交換作業を続けるのは手間がかかる。それに何といっても問題のマグネットスイッチは差し当たり不具合がない。俺は自分の横着と不見識さのペナルティとして,東芝から仕入れたマグネットスイッチの分はかぶることにした。補修パーツとしての購入なので電材屋からかうのに比べると割高ではあるが,いつかどこかで使うことにしよう。

 問題なのは依頼を受けてから復旧迄に要した時間で,結果論とは言え随分道草を食った。
駆け出しのあんちゃんだった頃から今に至る迄,俺にはいつもこういう感覚がついて回る。何故あれを見落としたのか,とか、何故こんなに手間取ったのか,といった後悔がいつものしかかっている。そしてこれはこの先もなくなることがない。生き続けている限りどこまで行っても俺には完成がない。 
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オープンキッチンと燃焼器具の相性について(3) [困った業者]

 異臭(ガス臭い)はガスフライヤーのパイロットバーナーが立ち消えすることによるものであり、立ち消えは建築構造や空調設備の問題に原因がある,というのがその日割り出した俺の所見であり,俺はここで一区切りついたものだと線を引いた。
 フライヤーそのものに不具合が認められないとなるとギャラはたいした額にはならないが、文字にして書き起こせばこういうボリュームではあっても現実の時間経過としてはせいぜい40分程度の滞在時間でしかない。加えておれとホシザキのサービスチーフ殿はそれぞれの仕事に於いてお互い少々補完関係があり,あまり杓子定規に経費請求する気にもなれないので俺の方からはいずれどこか収益の良さそうな現場で足代と駐車場代くらいが出ればいいよ,と伝えておいた。

 商売としてはこんな事ではいけないのだろうが,あの,何でも社内で処理できてしまうホシザキのサービスからの依頼を受け,貸しを作る構図に俺はいい気になっていたわけでビジネスとしては何とも甘いが、まあいいだろう。

 それから数日経ってのこと,ホシザキのサービスチーフ殿から俺の携帯宛に連絡が入った。
現状のガスフライヤーについて改善しておくべき点を全て処置してほしいとのことで、俺はその意図がすぐには理解できず,その真意を問いただした。
 ガスフライヤーの燃焼状態それ自体にある問題点を強いて挙げれば2槽のうちの片側のサーモカップルの出力が高すぎるて寿命に懸念があるので少し押さえ気味にしておくくらいで,これとて立ち消えの問題と直接関係があるわけではない。
 解決すべき問題は建築構造なり空調設備にあるのであって、周辺環境が満足されていればガスフライヤー自体は正常に燃焼するのだから機材の修繕としてすべきことはないと俺は説明するがサービスチーフ殿はそこを何とかと食い下がる時間がしばらく続く。

 そもそも,パイロットバーナーなどという微弱な燃焼を持つ機材を風が吹き込んでくるような場所に設置することに問題がある。もっと拡大していえば現在出回っている燃焼器具はかなりの割合で周辺に風が起きているような設置状況を想定していない時代の産物だ。
 乱暴な解決策であり,現実味は全くないが,周辺で風が起きる状況を無視して安定稼働できる条件を責任区分の範囲内で立案するならば,どうせ減価償却が済んでいる個体なのだからいっそ内線工事でも行って電気フライヤーに取り替えてはどうか。

 物事の構図は彼と話を続けるうちに段々読めてきた。
これは俺自身,今迄色々な現場で経験済みだが厨房屋の立場は大変弱い。建築工事,設備工事,厨房屋というヒエラルキーは大変強固なものであり,俺達のような業者が設備屋や建築屋の施工上の問題点を指摘して言い分を通すのは非常に困難な現実がある。
 ほぼ全ての場合に於いて,「問題が起きているのは燃焼器具なんだから器具の納入業者が解決しろよ!」と一喝されて押し切られる。何とも粗雑な切り分け方だとしばしば頭に来るが,建築屋や設備屋はしばしば厨房屋に対する発注者であり,逆の流れはないので厨房屋の立場が弱い。厨房屋の窓口が営業職だと尚更で、ホシザキのように営業職とサービスが完全な分業制だと全てのしわ寄せがプランニングや施工を担当したわけでもないサービスマンに押し付けられる。恐らくこのケースに於いてもそうだろう。俺はサービスチーフ殿に同情した。恐らく彼は色々と板挟みになって悩んでいるのだろう。

 これは俺一人の想像でしかないが,今回のケースでは空調設備業者に何かしらの負い目があり,それが表面化することを懸念するせいで厨房屋に責任が押し付けられてホシザキが割りを食ってるのではないのか。
 店内の負圧の度合いを低減させるのであれば,その試験は簡単で排気ダクトの終端の,例えば半分くらいを何かで塞いでみれば効果なり変化は確認可能だ。恐らくそれはよい方向、ということはOAの店内へ吹き込んでくる度合いが弱まる方向に作用するのではないかと俺は頭の中でシミュレートしている。
 しかし,それで効果が上がったのだとすれば一体何のために費用をかけて空調設備の改修工事を行ったのか,更には元来,店舗の設備設計段階に於いて吸排気のバランスのさせ方が悪かったのではないのかというところに迄問題の焦点が遡ってしまうと設計事務所に迄責任範囲が及びかねない。
 とどのつまり,その場しのぎというかご都合主義というか,トカゲの尻尾切りのような構図で元々何の責任もないはずのホシザキのサービスにしてみればとばっちりみたいな話だろう。(俺に談判させろよ)と言いたくなったが黒子でしかない俺がしゃしゃり出たのではホシザキのサービスマンの解決能力に疑問符がつく展開になりかねないので黙っていなければならない。歯痒い構図だ。

 サービスチーフ殿との協議ではガスフライヤーの修繕は行うべきではなく、空調設備の問題として解決してほしい,を押し通すべしと俺は念を押した。そもそも修繕を行ったところで事象に変化がでないのは明白だし,なまじ手をかければ今度は修繕の結果が思わしくないことを追求されて袋小路に追い込まれかねない。厨房の入り口に,例えばダンボールのような材料で仮設の障壁を取付けてみるとか,先に書いたように排気ダクトの終端を半分塞いでみるとかいった試みは特段金や手間のかかるものではないのだし,それは厨房屋の責任区分からは外れている。だから燃焼状態に問題がない以上,我々のすべきことはない。それが結論であってあとはこの所見をどこまで言い通すかという押しの強さにかかっており、それ以外には落としどころもないだろう。と俺は背中を押した。(この項続く) 
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オープンキッチンと燃焼器具の相性について(2) [困った業者]

前回記事URL:http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2014-11-29

 ガスフライヤーの上で少々ビリつき気味の振動音を出しながら稼働している排気フードを眺めているうちに俺はその面速度が少々高すぎるのではないかと疑問を持った。風速を計測する装備をその時の俺は用意しておらず,あくまで体感的な直感に過ぎないのだが、そう思えた。
 
 その居酒屋は多くの飲食店厨房がそうであるように第3種の換気設備(自然給気と強制排気の組み合わせ)であろうことは容易に想像がついた。
 諸兄は既にご存知だろうが,第3種の換気設備は室内が負圧(大気圧よりも低い)となる。
そしてこの居酒屋はオープンキッチンだ。前の記事で書いたように調理中に煙の発生量が多いオープンキッチンはホールでの煙の滞留について問題が起こりがちで、その解決策として排風機(換気扇)の能力を上げる方向に走りがちだ。
 しかし多くの場合,この処置はいい結果を生まない。
空調設備のイロハのイで、換気設備は給気量と排気量はあるバランスを保たないと意味がない。排気能力だけを幾ら上げても給気量が伴っていないと室内の負圧が大きくなるばかりで実際の換気量は殆ど増えない。ストローの途中を潰して一生懸命吸っても飲み物は決してスムーズに吸い上げられることはなくて苦しくなるばかり、という場面を想像して頂きたい。

 俺はガスフライヤーの燃焼自体には特に問題点が見当たらないことを伝えた上であらためて,ホシザキのサービスチーフ殿と居酒屋の店長とに聞き取りを行った。
 判明したことを列記すると以下の通りである。
*ガスフライヤーの途中失火は営業時間中に起き、開店準備の時間帯には発生しない。
*来客数や人の出入りの頻繁な時程多く起こるようだ。
*数ヶ月前に空調工事を行ってからこの事象は起こるようになった。

 ここに、最初訪問したときの現場の状況を重ね合わせてみる。
*厨房はオープンキッチンであり,ホールや通路との間仕切りはない。
*燃焼器具中,ガスフライヤーは店の入り口に最も近い場所に設置されている。
*第3種の換気設備で店内全体が基本的に負圧である。
*階段室入り口と店の入り口の二箇所に自動ドアがあり,風除室を構成している。

 実際に試してみるまでもなく,ここからは容易に回答が導かれる。
 つまり,風除室の二箇所の自動ドアがどちらも開いている時にOA(外気)が店内に吹き込んで,入り口に最も近い場所にあるガスフライヤーのパイロットバーナーが風の障壁となる間仕切り壁がないためにこの風によって立ち消えする。
 二箇所の自動ドアが同時に開くのは風除室の両端(階段室の入り口と店の入り口)に同時に人が立っているときであり,店舗が繁忙である場面で偶発的にこの条件が満たされるのであって、再現性に乏しいのは修理対応したホシザキのサービスマンが開店準備の時間帯にしか訪問できていないからである。もっとも営業中の修理訪問は店舗側が難色を示すに決まっているのだからそれは控えるのが通例だが。
 数ヶ月前に行ったという空調工事の内容を聞き取りしてみると排気用の外調機を風量の大きなものに取り替えたのだと言う。オープン以来,焼き物の煙(カウンターに面したところに焼き物機が設置されている)がホールに滞留する問題を抱えており,その対策として行った工事だとのことで,結果としては店内の負圧の度合いが大きくなった以上の効果を生んでいない。
 店舗のロケーションが雑居ビルの建ち並ぶ繁華街にある路面店であることでこの傾向は助長されることだろう。ビル風の発生によってOAが店内に流入するときの風速なり風量は通常時よりも高まることは間違いないからだ。
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画像は本文とは関係ありません。


 俺の結論として,問題点の所在は空調設備や建築構造にあり,改善はこの範囲で行われるべきであり,燃焼器具自体に不具合箇所があるわけではない。対策として具体的には以下の通り。
*厨房の入り口にドアを設けて外気の流入を遮るような障壁とする。
*給気量と排気量のバランスを取る。具体的にはホールに煙が流れ出ない程度に排気量を絞り込む対策をとる。 外調機に排気ダンパーがついているのであればこれを絞って調整する。なければインバーターなどの付加によって外調機の回転数を下げて風量の調整をとる。
 いずれも厨房機材の納入業者にとっては責任区分外のことであり,オーナーは建築業者なり空調設備業者なりに相談して頂きたい,と俺は区切りをつけたつもりになっていたが,この所見をまとめた報告書がその後なんとも苦々しい不条理を現出させることになるとはこの時予想していなかった。(この項続く)
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オープンキッチンと燃焼器具の相性について(1) [困った業者]

 記事の更新をさぼり続けていた間にもここに書き留めておきたい色々な出来事は当然あり、そのうちの一つである。

 その修理というか、依頼ごとはホシザキのサービスからあり、内容としては以下の通りだった。
ホシザキがレイアウトプランから関わった某居酒屋チェーンのうちの一店で、ガスフライヤーが不定期に途中失火し、周辺がガス臭くなる。従業員が事故を懸念しているのでこの事象の原因を調査し,解決策を提案してもらいたい。

 毎度ながら、俺のところに持ち込まれる依頼ごとというのはこういう類いのものが多い。何と言うか、その業者にとってはイレギュラーな事象であって解決能力に自信がないとかその業者の経験則にない出来事がだ。
 当然ながら、こういう状況での俺は使用者と直接コミットすべきでない。使用者のカウンターパートは必ず俺の依頼元でなければならないと俺は常々考えている。俺は黒子であり、裏方であり、表に出てはならない存在に徹する事にしているのだが、それが歯がゆい場面を生み出す事もままある。

 サービスチーフ殿と待ち合わせた件の居酒屋は繁華街の中心にある路面店で、一階がコンビニエンスストアでその店舗は二階にあった。階段室が風除室となっており、一階と二階にそれぞれ自動ドアがある。
 店舗内に入ってみて気付いたのはそこはオープンキッチンであり、店の入り口やホールから厨房までの間に間仕切り壁がないことだった。
 特に煙が発生する調理が多い店舗に於いてはオープンキッチンというのはしばしば空調上の問題を生む。厨房で発生した煙が上手く排気されずにホールに流れ出て滞留し、客から煙いという苦情が出る。ごり押し風に空調設備を強化して換気能力を上げた状態で運転すると今度は冬場などに客から店内が寒いという苦情が出る。帳尻合わせとして暖房を強化すると光熱費がかさむ、という悪循環がしばしば生まれるのがオープンキッチンだ。
 
 問題のガスフライヤーはコメットカトウの製品で、ガスコントローラーには定番というか、Robertshawの製品が使われている。型式名はGISTといい、色々な燃焼器具で使われている。

RobertshawのHP:http://www.robertshaw.com/Login.aspx
日本での輸入元は三幸株式会社であり,色々な燃焼器具メーカーに組み込み用として供給している。
GISTユニットのURL:http://www.sanko-controls.com/shouhin.htm#20

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燃焼器具を扱う同業諸兄でこれを見たことがないというサービスマンはいないはずだ。

 訪問時間は午後2時少し前くらいで、開店前の仕込みでキッチンは既に稼働していた。
GISTはガスコントローラーとして以下の機能を一体化させたものだ。
*圧電着火
ガスコック
*パイロットバーナーの点火保持(立ち消え時のガス遮断機能)
*温度調整(組み込み用途により設定範囲が異なる)
 点火保持はサーモカップル(熱電対)で行っており、製造元では具体的な数値を一般には公開していないがGISTの場合、俺の経験則でいえば12~18mVくらいの熱起電力が保持電圧としては適正範囲だと思う。これ以下だと遮断弁のプランジャーが誤動作を起こしやすく、これ以上だとプランジャーの保持動作は安定するがサーモカップル自体のエレメントの熱劣化が早まり耐久性が落ちる。

 現調に当たっては燃焼機器点検として以下の項目を行った。
1:ガス配管接続の漏れ箇所
2:サーモカップルの出力電圧測定
3:遮断動作の確認
4:パイロットおよびメインバーナーの燃焼状態の目視
5:燃焼排気中のCo(一酸化炭素)測定

 結果としては全て問題なく、依頼された不具合の再現もできなかった。
Co濃度は僅か10ppmで理想的な完全燃焼であり、異臭の原因は燃焼排気ではなく未燃焼の生ガスによる事を示している。また、サーモカップルの出力は28mVであり、俺の所見としては過剰に高い。

 ここで冒頭書いた依頼内容のうちの異臭について憶測してみると、根本的な原因はやはり不定期発生するバーナーの立ち消えに帰着しそうだ、と俺は考えた。
 つまり、サーモカップルによって点火保持し、遮断機能を働かせる形式のガスコントローラーは立ち消えの発生からガスの遮断動作までに不可避的にタイムラグが生じる事に関係する。
 イグニッション点火、フレーム電流による点火保持形式であれば電流の遮断とガスの遮断弁の動作は瞬時に、同時に行われるがサーモカップルは立ち消えが起こってから冷え始めて熱起電力が低下し、プランジャーの感動値(コイルが励磁して遮断弁の開閉動作に至るしきい値)以下まで達するタイムラグが必ず生まれ、この間未燃焼の生ガスはある量、必ず出続ける。
 点火保持の形式がいずれであれ、遮断作後には遮断弁以降の配管内部に溜まっていた生ガスが大なり小なり外部に流れ出るわけだがサーモカップルによる点火保持はフレームロッドに比べて流出量が多くなる傾向がある。
 勿論、それは秒単位での出来事なので事故が起きるような量では全くないのだが、ここで問題なのはサーモカップルの出力が高いほどこのタイムラグは大きくなる事で、今回のように適正範囲の倍近い出力値ともなると、フライヤーの近くにいる調理師の嗅覚がそれとわかる程度の量が出ているという事ではないのか、というのが俺の推測である。

 サーモカップルの出力電圧を適正範囲にまで落とすことで遮断弁動作時までの生ガス流出量を抑制する事は幾つかの方法で可能だがここでは詳述しない。それは枝葉の問題であって現象の根本的な解決にならないからだ。
 立ち消え消火時に多少ガス臭いのは決して好ましくはないが、少なくとも事故の可能性はないと言っていい。最も重要なのは立ち消えが起こりにくい状態を作り出す事であり、不定期発生する立ち消えがどういう条件下で起こるのかを突き止める事だ。

 ガスフライヤーそれ自体に問題点は見当たらない。それで立ち消えが不定期発生するのはいかなる条件に於いてであるか、営業前の居酒屋で俺は想像を膨らませてみた。頭の上では排気フードが勢い良く周辺の空気を吸い込んでいる。
 路面店、オープンキッチン、などなど色々考えていくうちに俺にはある仮定が閃いた。(以下続く)
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同類の匂いを嗅ぎ取る [困った業者]

 とある山間部の集落にあるベーカリーショップでの修理が本日のメニューである。
 ここ数日の俺は土曜日の仕事はテンションが上がらんなどと悠長なことを言っていられる状況にない。ありていに言って金がないからだ。金がないときの俺は精神に張りが出る。土曜日の弛み具合と相殺勘定すると大体ちょうどいい具合というのが本日のコンディションである。
 コンディションはさておいても金欠にならないと仕事に気合が入らないというのは大変困った傾向で、これは俺はこの先絶対金持ちにはなれないことをあらわしている。

 本日のメニューは冷蔵庫の修理で吐出弁の破損したコンプレッサーの交換だ。
割合と利益率のいいお仕事ではあるが俺は最近、余り出来の良くない冷媒漏れの検知器を無理して買い換えており、これの支払額は今回の修繕で出てくる利益からもう3万円くらい上乗せしなければならないのでぬか喜びしている場合ではないのだ。

 作業は順調に進んだ,と言いたいところだが実際はそうでなく,本日も俺にはトンマな出来事が襲いかかって来る。
先月末頃の修理でそろそろ残量が心許なくなっていたのが溶接機の酸素だ。あと一回分くらいの残量はあるのではと甘い見通しでいた俺がバカだった。
作業途中で,エンジンがかかり始めたところで溶接機のトーチはだんだん炎が赤くなり,火力の勢いが落ちたので俺は懸念が的中したことを知った。安定器の圧力ゲ−ジは無情にゼロを指しており、これ以上は溶接の作業が続行できないことを表している。

 しかしまだまだ先行き長い作業途中で,現場は山間部の集落だ。どうするよ?と俺は困惑した。
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 俺は得意先に状況を説明し,どこかこの集落に鉄工所か何かがありはしないかと訊ねた。時刻は夕方近くになろうとしていたが,何とか酸素のボンベを貸し出してもらって仕事にケリを付けておきたかった。

 幸いなことにその集落には一件,鉄工所があるらしかった。得意先のオーナーに所在を教えてもらい訪ねてみるとある商店の隣にあまり普請の立派そうでない,鉄工所というよりは鍛冶屋と形容した方が適当そうな建物があった。

 工場というか作業場というか,とにかく工作機械や溶接機が散乱する場所は脚の踏み場がないほどで、俺はそこでエントロピーという言葉のことを思い出した。
 恐らくここは一人親方の営む鍛冶屋で,どこに何があるのかは本人だけが知っている,そういう場所だ。何故そういうことがわかるかというと,これを書いている俺自身がそのような性癖を持っているからだ。

 作業場に繋がった住宅の玄関先から出てきた主はまさにそのような人物で,無精髭を生やして牛乳瓶の底のようなメガネをかけた風貌は彼が長年,溶接の仕事を続けてきたことを物語っていた。
 こと溶接に関しては,俺のような者が長年鉄工関係に従事してきた職人に太刀打ちできるわけはない。貸し出してもらえることになったでっかい酸素ボンベを転がす俺の手つきを見てかれはたちどころに俺の溶接の造詣が付け焼き刃程度であることを見抜いた。

 俺の身長ほどもあるでかくてクソ重たい酸素ボンベをひいひい言いながら車に積み込むと既にその時点で俺の呼吸は乱れていた。
 まあ頑張れや,という親方にお礼を言い,俺は件のベーカリーショップに引き返した。ボンベの取り回しには本当にくたびれた。重量を量ったわけではないが容器の重量だけでも60kg以上はあったのではないか。本筋のコンプレッサー交換の何倍も馬力を要する作業だったと書いておく。
 
 冷蔵庫の修理はさておくとして,俺は鉄工所の親方のことが気になっている。
何というか,彼は俺と大変似た傾向の人物であるような気がしているからだ。酸素ボンベを借り出す相談に於いて俺は当然,その使用料を支払うことを伝えたが彼はそれは終わってからにしようとか大して溶接箇所が多いわけじゃないだろうと言い,はっきりした金額を取り決めないまま出掛ける用事があるからと言い残していなくなってしまったのだ。

 断言してもいいが,彼から請求書が届くことはない。幾ら幾らという使用料が提示されることもない。
俺の側から持ちかけない限りこの件はなし崩しで有耶無耶になっていくに決まっている。
 仮に次回,あってはならないことだが同じことがあった場合頼み事をしづらくなるのでここは何としても金銭的な解決を付けておかなければならないがきっと彼にとっては関心外のことではないか。”俺に大変似た傾向”というのはそういう側面であり,平たく言うと商売っけがない。

 こう言っては失礼だが,山間部の集落で長いこと一人親方として鉄工所を営む彼はその職人的実力に見合った境遇にありそうには見えなかった。何によらず,職人とか技能職というのは田舎に引っ込んで自営開業するにあたってはそれまで覚え込んだ多くの抽き出しを活用する機会を失い,日銭を稼いで生活できる程度の収入があればそれで良しとする一種の諦念と、どうせ誰にも自分の仕事の本質はわかってもらえないという虚無感と無縁ではいられない。
 そういったものと向き合いながらモチベーションを保つのは大変なことだが,働かなければ食っていけないのでその必要に迫られて日々を過ごす構図に俺は何かしらの同一性を見出すのだ。明らかな違いは,俺の腕前はさほど大したものではないところだな。
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大風呂敷を拡げる時には他人を巻き込むな [困った業者]

 会社四季報という株に関係した本を書店で立ち読みしていたら北沢産業の項で「24時間対応のサービス体制を売り込む」みたいな記述を目にして背筋が寒くなった。もう,たちの悪い冗談だとしか思えない話だ。

 まずは断りを入れておくが、俺は北沢とは良い関係にない。だからここで俺の書く事はそういったフィルターのかかった、上増し気味の否定的見解で感情論がかっていると指摘されても全面的な反論はしない。
 しかしそれを抜きにしても同業者間の風評に於いて北沢産業の修理が素晴らしいなんていう話は聞いた事がない。俺自身が接した何度かの場面でもおよそ感心できない事ばっかりだった。
 
どこの会社と言わず、今の厨房屋業界で保守業務24時間対応など全くもって絵空事でしかない。そういう運営体制の実現に最も近いところにいる会社は疑問の余地なくホシザキだが,販社レベルでサービスマンの24時間365日体制を思案し始めたのはもう20数年前のことだ。
 ホシザキの20数年前と現在では出先機関の数といい擁しているサービスマンの人員数といい段違いの成長ぶりだが、現在に至ってもホシザキは決して365日24時間対応などとは少なくとも表立って謳っているわけではない。
 現在,北沢産業の社員数は400名強であると聞く。その数は20年前のホシザキの一割にも満たないばかりでなく,俺が見る限り営業所レベルでは専従のサービスマンの存在さえ怪しく,営業技術職との兼務という何とも人使いの荒い勤務形態だ。
 現場レベルではかくもお粗末な運営実体の会社が一体どんなマジックを弄して365日24時間修理対応などという業務形態を実現できるのか。大風呂敷とはまさにこういうことを言う。

 俺には容易に想像のつく様相がある。
 修理専門の別会社を作り,コールセンターを設けて修理依頼は一切合切そこに押し付け,自分たちは商材を売り抜けるだけの会社になって身軽になる。
 そして実際に24時間365日,道具箱をぶら下げて深夜の0時とか元旦に修理に駆けずり回るのは北沢の社員ではない。サービス専門の別会社の社員でもない。
 もう少し詳細に書いておこう。
*時間でいえばウィークデイの昼間から夕方にかけて
*扱う品目でいえば自社製品や日常取り扱う汎用的な機器類
*作業内容でいえば特殊な測定機器や溶接機などの高額な装備を使用しないで済む軽作業
 こういう楽なところ『だけ』を社員が行い、残りの時間的,作業内容的にイレギュラーな修繕やややこしい不良判定を擁する場面は全て協力会社という部外者に丸投げする。いずれ北沢産業という会社がビジネスに加えるかもしれない24時間365日修理受付の体制とはこういうものであり、極論すればサービス会社などと謳ってはいてもその内実は電話の取り次ぎと修理代のピンハネしかやっていないような実体だってあり得ない話ではない。

 大体,北沢などという会社は自社の生産工場を持たない商事会社に過ぎない。
俺はここで,製造業と商事会社の優劣を付けたいわけではない。世の中全般で言えば物凄い専門知識を持った人材を擁する商事会社は山ほどある。しかし業務用厨房という分野について言えばそんな商事会社は俺の知る限り一つもないし,北沢も例外ではないということだ。
 
 得意先の前では出来もしないことで大風呂敷を拡げて安請け合いし,会社に戻ってからは都合の悪そうなところを仕入れ先や協力会社に全部押し付けておいて手柄は独り占め,というのは腹立たしい世の常だが厨房屋という業界に於いてはこれが実に幼稚なレベルで,しかも露骨に行われる。
 困るのはそれがしょうもない社員という個人レベルではなく組織立ったものとして行われることで,これは業界全体が品性に劣っていることを表している。

 だから問題なのは北沢産業だけではない。設備設計を行い,現場施工を行う総合厨房の会社は全ていずれこの動きに追随していくだろうし,その過程で仕入れ元の専業メーカーや輸入商社,俺のような自営業者を巻き込んで深夜や休日に理不尽な無理強いをして来る。これにはかなりの確信がある。
 
 「確信がある」というのは実は正しくなく,真相は『既にそうなりつつある』だ。
現在この手の商事会社も兼ねたような業務形態の,総合厨房を手がける会社については二社,俺は協力会社として取引があるが、どちらも依頼内容は概ね次のようなものだ。
*社外の仕入れ商品,同業他社の製品の修理
*深夜や早朝に作業時間が限定される得意先
*冷媒管に関係した修理(総合厨房を手がける会社のうち,これは社内で出来ない場合が大変多い)
*生産時期が古く,管理台数が極小になってきた機種
*日曜日や祝日の突発的なオンコール対応
*厨房メーカーがオンコールから時間を置いており,得意先が感情的になっている場合(これは事前に協力会社に明かされない)
 要するに,自分たちは定型業務と時間から時間の仕事だけをしたいので都合の悪いところは外部に押し付けるいいとこ取りとピンハネ体質の塊だ。

 更に始末の悪いことに厨房屋というのは深夜や早朝,日曜祝日といったイレギュラーな時間帯に於ける業務依頼に対する労務経費の割り増し請求を受け付けない。どこかで埋め合わせをつけるから今回は貸しにしておいてくれと言いながら返ってきた試しは全くなく,毎度うやむやだ。
 理由を問いただすと割り増し分を得意先に請求できず、請求通りの注文書を切ると赤字になるからだと言う。何故得意先に請求出来ないのかと追求すると,修繕費でがめつい商売をしているという印象を与えると次のビジネスチャンスがなくなる可能性があるからだとか。
 日曜や深夜に私生活を放り出して現場に急行することで請求額の割り増しが発生するのはがめついことなのか。これは依頼元の厨房屋というよりも使用者側の問題だが,それならばどっかのファストフードチェーンや居酒屋は営業時間外でも店長の自宅や携帯に電話をかけて腹が減ったと騒げばいつでも店を開けてメニュー通りの料金で飯を食わせてくれるのか。それが病院だったらどこでも24時間365日いつでも受信させてもらえるのか。自分たちができもしない事を周囲の業者には押し付けるような連中に媚びへつらい、振り回され続ける。こんな程度の交渉を得意先とすることも出来ない腰砕けの,何でもかんでも言いなりの情けない厨房屋が外部の協力会社に貧乏くじを押し付けて来る。
 厨房屋の謳う「24時間365日のオンコール受付体制」など所詮この程度のものだ。少なくとも,一人でその厨房にあるどんな機材だろうが修繕をワンストップで片付けていくスーパーマンみたいな社員がオンコールの一時間後に急行してくれるなどというバカな期待を使用者は持つべきでない。世の中全て,バカにはバカに見合っただけのものしかあてがわれないよう出来ているもんだ。
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サービスマンは人材枯渇傾向 [困った業者]

 俺の周辺を見る限り,この業界について言えばサービスマンとは修理屋のことを指している。

 他の業界のことを俺は知らないが,俺の棲息する厨房屋の業界で見る限り,サービスマンが正当な地位を得ているとはとても思えないし,その地位は年々低下している。
 前回記事でも書いた通り,使用者の意識レベルが年々劣化していくことに安易に迎合し続けた結果,修理屋の水準もまた低下していく一方で,このまま進行していくとあちこちのバックヤードでは深刻な状況が現れてくるのが俺の予測だ。

 俺がこのブログで何度か言及したことのある元の勤務先のサービスマンである人物を,俺は『若い衆』だとか『あんちゃん』とかいった文字で表してきた。
 しかし彼は20代を終えるまでにそう長い時間がかからない戸籍年齢の男である。そういう人が上のような呼ばれかたをされるのがこの業界の現状なわけだ。

 俺から見れば彼は確かに親子ほども年齢の離れた人物だが、考えてみれば俺が世間様にデビューした頃,人生の折り返しを過ぎた同業者のオヤジが作業衣を着て軍手をはき,道具箱をぶら下げて修理に駆けずり回る姿を見た記憶がない。
 それどころか、当時の俺の職場では30歳のサービスマンというのは大ベテランであり,営業職への転向人事が取沙汰される年代だったのだ。
 翻って現在,冒頭書いたように30ちょっと前のサービスマンはまだまだあんちゃん扱いだ。40代のサービスマンなど珍しくも何ともない,というよりも現在この業界に於ける主力の年齢層がその辺りなのではないかと思えるくらい多い。考えてみるとこの十数年、顔を合わすことのある同業者のサービスマンはずっと同じメンツだったような気がする。グリーンボーイと接した記憶が殆どない。

 俺はここで三つのことを疑問として提示しておきたい。
一つ目は何故昨今,40代のサービスマンが珍しくなくなったのか?
二つ目は何故ここしばらく,20代前半のグリーンボーイを見かけることが極端に少なくなってきたのか?
三つ目はこの状態が推移してくとそのうちどういうことが起きそうなのか?

 かなり長い話になりそうなので,これから幾つかに分割してアップしていきたい。(この項続く)
タグ:修理 高齢化
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銅管を巡る困った施工例(続き) [困った業者]

 前回記事URL:

 ひとまず、仕事仲間の助力を得て修理はけりがついた。
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 冷媒補充を二回行ったので合計三回のチャ−ジで使用量は訳12kg、ボンベ一本をまるまる使用した事になる。

 これで全て終わりのめでたしめでたしというわけではない。懸念材料は消えていない。
ガス漏れの発生した配管を眺めているうちに俺は段々訝しい気分に襲われた。この障害にはどうしても腑に落ちないところがある。

 前回記事で書いたように、冷媒の漏れは殆ど全てと言っていいほど接続箇所で起きるか、配管途中で起きる場合は冷媒管が保温材で保護されていない状態で他の何かと摩擦が起きている時かのどちらかなのだが今回はそのどちらにも該当していない。
 配管途中でピンホールが発生する事例にまだ俺は遭遇していない。
思い出してみると、配管の腐食がひどかった。まるで硫黄のきつい温泉場とか塩素の影響を受けた銅管みたいに真っ黒になっていた。保温材の中に収まっていてそうなる事例を先に書いたような温泉場のような特別な周辺環境以外では俺はまだ見ていないのだ。何故そんなことが起きるのか。

 切り取った銅管を拾い上げてしげしげと眺めているうちに何か変な気がした。
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 黒ずんだ錆び方、ざらついた表面はあばたのように凸凹している。特に気になるのはパイプベンダーで曲げ加工をしたその痕跡で、ベンドした箇所にこれまた凸凹の皺が生じている。加えて、手に持った感触として何だか軽い。

 切り取った漏れ箇所を家に持ち帰り、あれこれ調べてみた。
帰り道の途中で思案していたある事を確かめておこうと思ったのでゴミ箱行きにはせずにおいたのだった。
 手持ちの、冷媒管と切断面を見比べてみると明らかに配管の肉厚が薄いし、長辺方向を手に持って曲げようとしても曲がらない。俺は自分の仮定に確信を持った。
 それは冷媒管ではないのだ。ずばり言えば給湯用の銅管を冷媒管として使っている。曲げ加工をした時に皺が発生するのはそれがなまし管ではなく直管だからで、肉厚が薄いのも流動摩擦による摩滅ではなく元々そういう肉厚だったからだ。
 錆による表面の荒れ具合も銅の純度が低い給湯管だからだと考えれば説明がつく。

 誰がやったんだか知らんが、それにしてもひどい工事だ。
現場では、冷媒漏れこそ起きていないものの錆は相当広範囲にわたっており、いつ、どこから漏れてもおかしくない状況である。
 学校給食センターという官庁施設でこんな工事がされているのかと信じられない気分だ。何といっても所有者である町役場にこんなとんでもない話を報告するわけにはいかない。直接の依頼元には全容を伝えておく必要があるが,末端ユーザーにまではまずいだろうな。

 使用者の方でこのブログを読んでおられる方はさほど多くなさそうだが,あんまり施工業者を叩いて値切りまくるとこういう工事をされるかもしれんぞ。物事程度というものがあるということは知っておいた方がいい。
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銅管を巡る困った施工例 [困った業者]

 某学校給食センターの保冷庫(冷蔵)が冷えなくなったのでという修理依頼がきたのは先月末頃のことだった。
 冷凍機は二階屋上にあり,冷媒管長は10メートルを超える。
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 症状としてはガス漏れであり,冷媒を補充して再運転しながら漏れ箇所を調べ始めたところ少ししてから雨が降り始めたのでその日の作業は中断せざるを得なかった。

 その時にはいずれゆっくり調べましょう,と,結構呑気に構えて退散したのだがそれから一週間ほどで件の保冷庫が再度冷えなくなったとの連絡がはいった。
 冷媒の封入量は大体4kgであり,これが一週間でなくなるというのはただ事ではない。前回は降雨のために中断せざるを得なかったが今回はきっちり決めてやろうではないかと俺は結構意気込んで出かけた。
 しかし結果は無惨なもので,漏れ箇所の特定がその日は出来ずに終わった。弁解めくが,自分で施工した現場であればもう少し勝手が違ったはずなのだが他人の施工した現場は色々とわからない箇所がある。

 既に冷媒は合計で8kgを持ち出しており、それが一週間で抜けてしまうとなると一端に請求書を書くわけにも行かない。そして、これが最も頭を痛める事なのだが、障害の原因がどこにあるの見当がつかないままである。
 俺は自分の力量に限界を感じ、外部に助力を求める事にした。
仕事仲間である冷凍機屋と二名で三度目のトライを行ったのが今月の初めである。
しかしそこでも漏れ箇所の特定は難航した。俺と相棒は大いに頭をひねった。脳天から煙が上がりそうなくらい悩んだ。

 通常、冷媒が漏れるのは幾つかのパターンがある。配管の継ぎ目から漏れるか、狭い箇所に密集した配管が機械振動でこすれて線状の穴があくかが殆どだがどちらにも該当していなさそうなのだ。
 冷媒管の漏れで厄介なのは、保温材で被覆されているので怪しいと思った箇所はその都度保温材を割いて内部を調べる事になる。調査箇所が複数にわたれば勿論作業の終了後はその全てを修復しなければならないわけでこの作業量がバカにならない。

 配管のうちの殆どは天井裏に隠蔽されており、都度都度脚立を移動し、点検口を開けて天井裏に上がり、天井を踏み抜かないように歩み板を持ち込み、腹這いになったり体を丸めたりしながら冷媒管の保温を割いて接続箇所を捜しては漏れを調べる事を繰り返す。
 給食センターはオープン以来職員が異動を繰り返す上に、途中改修工事が行われていたりもして建築図面を手がかりに配管ルートを調べる事に困難がある。仕方がないので出たとこ勝負で点検口をひとつひとつ開けては天井裏に上がって配管を調べる作業を余儀なくされるのだ。

 複数の箇所から、保温材にオイルが滲んでいる事が確認された。スローリークでない限り、オイルが漏れている箇所は冷媒が漏れている箇所である事と同義であると考えて良い。
 しかしこの現場である給食センターではこのセオリーが通用しなかった。
保温材はオイルを吸ってグジュグジュしていながら、その箇所の保温材を割いて冷媒管の状態を調べてみると漏れている形跡はない。しかも、保温材と同感の間に検知器のプローブを差し込んでみるとリークの反応は出るのだ。
 俺と相棒は全ての点検口を開けて至る所保温材を割き、溶接箇所を露出させてその漏れ状態を調べたがどこにも漏れがない。しかし確かに封入量4kgの冷媒は約一週間で抜けるのだ。どこで損傷が起きているのか?時間の経過とともに俺と相棒はどちらも苛立ち始めていた。

 回答は意外なところにあった。
 作業を始めてから4時間近くが経過し、それでも漏れ箇所は見つからず、俺と相棒はそろそろ徒労感に苛まれる気分で湯沸かし室にいた。職員に出して頂いたお茶を啜りながら一体何が起きているのかと途方に暮れてお互いの見解を確かめ合い、しかしどちらにも確証は得られず、ため息をついた。
 「俺の安物感知器ではどうも調子が悪いなあ・・・」何の気なしに俺は感知器の電源を入れたそのとき、感知器が反応し始めた。
 「このザマだ」誤反応しているのだと思い込んだ俺が舌打ちして電源を切ろうとすると、不意に相棒が制して俺の手から感知器を取り上げた。
 「ちょっと待ってよ」相棒が手に持った感知器を差し上げると反応音が強まり、感知量のインジケーターが跳ね上がった。
 俺たちはどちらからともなく湯沸かし室の天井を見上げた。その天井裏には確かに冷媒管が通っており、湯沸かし室には点検口がない。つまり、湯沸かし室の天井裏配管はまだ調査できていない唯一の箇所なのだ。
 「ここ・・・・なのか?」「あり得るな」「そうだとしたら最悪だな」そんなやり取りがあった。
 天井裏を改めるためには点検口がないので天井一面に貼ってあるジプトンという建材をはがさなければならなかった。配管のルートから考えると一カ所、90°に曲がりの形成された部分があるはずだ。そこが怪しい。
 ジプトンをはがすためには天井面に取り付けられている照明器具や火災報知器の感知器を一旦外さなければならない。電気工事士の資格が実務で有効に生かされる数少ない場面だ。というか最早それは厨房屋の日常の作業とは全然かけ離れたものだ。
 すっかり汗だくになって天井裏の冷媒管を触ってみると明らかに保温材がオイルでグチョグチョになっていた。滴り落ちた冷凍機油でジプトンの裏面にシミができていた。
 「ここだな」見当をつけた箇所の保温材を割いてみると油でベタベタになっており、露出した冷媒管からはシューシューと冷媒の漏れる音がしていた。これだけひどければ一週間かそこらでカラッケツになるのが十分納得いくくらいの漏れ方で、石鹸液をかけてみるまでもない。直近で手をかざしただけでも皮膚感覚で漏れているのがわかる、そんな勢いだった。
「よりによってこんな所でよ・・・」相棒がため息をついた。他の配管やら配線やらが密集していて大変窮屈な、溶接のしづらい場所だったからだ。

 ため息をつきたくなる理由はもう一つあった。
 通常、冷媒管の漏れは配管接続箇所にピンホールやゆるみが発生しているか、配管がこすれて線状の漏れ箇所が発生しているかのどちらかだと先に書いた。
 しかしこのケースに於いてはそのどちらにも該当していない奇妙な漏れ方だった。保温材に収まった、ということはこすれがあるわけでもない配管途中箇所がある範囲にわたって腐食し、無数のピンホールが発生しているのだ。そんな漏れ方を見るのはこの稼業を始めて以来一度もない。

 処置としては腐食箇所の配管を切り取り、手持ちの銅管で溶接補修する。文字で書いてしまえばただこれだけの事で、実際の作業もさほどややこしいものではない。
 配管補修を終えて屋上に移動し、真空引きや冷媒のチャージを行い、保冷庫の試運転を始めて漏れのチェックを行い、と、作業は収束方向に向かった。保温材の補修や天井造作の復旧を終えると作業時間は実に7時間ほどになっていた。俺としては久しぶりのロングマッチだ。
(長くなり過ぎたのでこの項続く)
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0.6mmの穴 [困った業者]

 某フライドチキンのファストフードチェーンにて稼働しているオープンフライヤーは納入以来稼働歴は30年近くにもなろうかという年代物で,俺の住む土地での管理台数は一店舗分,2台きりになってしまった。メーカーのサービスマンも世代交代が進み,今では若いサービスマンが触ることは殆どなく俺のような社外の協力会社にババ抜きよろしくこういう仕事は回されてくるのである。

 バーナーユニットの画像はないが,SS(白ガス管)で組み立てたヘッダーにブンゼンバーナーが30本くらい組みつけられたものである。そのノズルを交換する,というのが作業内容である。
 燃料の種別はLPGで、ノズル径は0.8mmと0.6mmの2種類があり,火力の異なるバーナーを規定の配列で構成することになる。  

依頼元が言うには,現場で状況に合わせてノズル径はオーバーサイズしてもらうかもしれないとのことで俺はハイハイとその言い分を聞いていた。
 しかし現物が届き,中を開けてみて俺には暗い記憶が蘇ってきた。交換用のノズルは未加工であり,現地で0.6mmと0.8mmの穴を開けろということだったのだがそれを見て過去のぶざまな失敗を思い出したのだ。以下はその失敗談,10年くらい前の話を思い出せる範囲で書き残しておく。

 とある燃料販売店からの依頼でオープン前の某ビジネスホテルで中古品としてかき集めた厨房機材の試運転依頼をそのとき俺は受けた。
 そのうちの一つにガスフライヤーがあり,ガス種が6BであるものをLPGに変更することになった。製造元は日本調理機であり,大変古い製品なので当時既にストックパーツは底をついていた。
 既に6B用に製作されたノズル径を狭める作業なので穴は一旦砲金で埋め,面取りをしてから規定の口径の穴を開ける作業だった。この時のノズル系は0.8mmだったと覚えている。
 錐先は大変細く、当時今以上に無知だった俺はこの時キーレスチャックでコードレスのドライバドリルを使ったが結果は無惨だった。
 今でも変わっていないと思うが,当時使っていたような9.6Vのドライバードリルでは1mm未満のチャッキングは出来ない。ちょっと使い込んでチャックが減っていればドリルの刃をきちんとホールドできないし何とかできても回転時にセンターが出ない。
 俺の手持ちのドリルを一渡り眺めてみると,チャックの能力で1mm未満に対応するものはない。厨房屋の業務で1mm未満の穴を開ける場面というのは殆ど全くないといっていい。
 
 自分の無知さ加減に落胆しながら俺は小径の錐先で使用できる小型のドリルを買い込んだ。当時の勤務先の業務範囲で言えば用途のない道具だったし,不況で色々決裁が厳しい時期でもあったので仕方なしに自分の持ち出しで買い込んだのだ。

日立 電気ドリル [D6SB]

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 しかしリトライの結果は大変惨めなものだった。それは俺の無知さ加減を如実に表しているものであり、過去の失敗を今の今まで忘れていた俺の記憶力に問題があることをも示している。

 そもそも薄っぺらいワークに穴を開けるのならともかく,砲金の無垢棒から削りだした加工品であるノズルに穴を開けるのにハンドドリルなど無茶苦茶な了見であることをそのとき俺は思い知ったのだった。
 0.8mmとか0.6mmとかいうサイズの錐先はハンドドリルに取付けた状態,ということは人が手でホールドした状態では鉛直が出ないので斜めに切り込むことになり応力ひずみによって穴開け途中で錐が折れる。考えてみれば全く当然の話でが当時の俺にはそこに思いあたるだけのおつむがなかった。こういう加工には当然,ボール盤が使われるのだがそんな予備知識が俺にはなかった。

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 困ったのはワークであるノズルの中に折れ残った錐先を取出す作業で,何をどうやって取出したのかはもう覚えていない。
 結局そのとき俺のやったことといえば,1.2mmくらいで明らかにオーバーサイズの穴を開け,続いてハンマーで穴開け面を叩いて潰し,目検討のヤマ勘でノズル径を狭めて不完全燃焼しないようにトライアンドエラーで帳尻を合わせたのだった。
 無茶苦茶に手間取り,疲労した。俺の黒歴史の一ページである。今でも時々,普通に燃えているかと心配になる時がある。

 そのとき買い込んだ小型のドリルは今でも大して使うことがなく,すっかり埃をかぶっている。ドリルスタンドを買い込んで活用しようとも思ったが残念ながら使えるスタンドが今のところ見当たらない。だからといって大した修繕費にならない上に10年に一回程度の加工作業にわざわざボール盤を買い込むのも現実味のない話だ。
 俺は依頼元に工場で穴開けを済ませたものを支給してほしい旨を伝えた。現場で支給品をダメにして混乱するよりはそちらの方がまだマシだというのがその判断だ。
 対して依頼元の若い兄ちゃんは憮然たる表情で応えた。現地で加工してくれと工場が言っているからというのがその根拠らしい。それで俺は少しばかりヒートしたのだ。
 それは工場の言い分がおかしい,ハンドドリルに0.6mmの錐先を取付けて砲金の無垢棒に穴を開ける芸当など俺には出来ない。出来るというのなら授業料を払ってもいい,君でも工場の誰かでもいいから一度俺の目の前でやってみせてくれ、大体こうして間に立っているあなたはそれが出来るのか?やったことがあって,それが可能だから俺にそれをしろといっているのかと俺が息巻くとあんちゃんは更に憮然として口をつぐんだ。

 ここであんちゃんをこき下ろすつもりはない。 経験の足りない若い衆にとって所属している会社の工場が述べる所見は絶対的なものだろう。日頃自分で勉強していればそのくらいの事はわかりそうなものではないかという見え方もあるがここではそれを言わない。
 似たような出来事は掃いて捨てるほど沢山あるのだが、日頃思うに厨房関係の同業者で議論というものを戦わせた記憶が殆どない。あるのは経験談を披露し合う事だけだ。多くの場合、議論という局面になりかかると殆どの人は憮然として俺を睨みつけるかそっぽを向く。
 己の弱点を知り、修正し、成長していくという過程がこの業界にはない。多くは入社した時のポテンシャルのまま付け焼き刃の経験則のみに頼り横方向に水ぶくれしてくだけであって掘り下げていくという事をしない。俺はそういう成長過程を端から見ていて歯がゆく思っていたが、最近思うにこの業界はそれでいいのだろう。
 工場の設計開発部門に噛み付いてその所見に議論を挑んでくるようなサービスマンはきっといらないのだ。これを更に突き詰めていくと技術論としてきちんとした所見を述べる事のできるサービスマンが必ずしも得意先から高い評価を得ているわけではない、という構図に端を発しているように思う。何から何まで未熟で穴だらけの業界事情ではある。 
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得意先で窃盗を働く北沢産業 その2 [困った業者]

 前回記事の続き  http://tuttle.blog.so-net.ne.jp/2013-02-16

 ダメ元の応急処置とは言えども動かせなかったときにはやはり幾らかの敗北感はある。
今回の件については依頼のあり方からしてあまり気乗りしないものだったのでこういう中途半端な区切りかたはどうも精神衛生上良くない。

 週が明けて通常業務となり,委託会社の係長殿からは修理依頼を改めて北沢に流したとの連絡があった。そもそも北沢が納入業者なのでそれについての異存があるわけはないが初日に行った作業についての経費請求はさせてもらいたいもんだと俺は考えた。
 少し経ってからもう一度電話があり,最初に手をつけた行きがかり上、俺にも修繕の見積りを作成してもらいたいとのことだった。
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画像は本文とは関係ありません


 この間,北沢から俺宛には何の連絡もなかったことは予想できたこととは言え全くしょうもない連中だと呆れた。
 同業者が既に手を付けている修繕であり,電気ボックスの中には見慣れぬマグネットスイッチがあらたに増設されている。所見なり途中経過については俺は文書として委託業者宛に送信を済ませている。
 これが俺だったら,という過程でいえばその同業者と連絡を取り,先行して行われた仮処置がどのようなものであったのかを把握した上で手を付け始めるのだが彼らはそうではなかった。無意味な意地としか受け取れないのだが。

 修繕する上で俺が考えたのは,断線したポンプを交換するか整備するかの二通りについて見積りを作成し,どちらの方法をとるかについて協議することだった。
 ポンプを交換する方向性を選んだ場合は発注時にパーツコードを伝えておかなければならず,それは本体に付属した配線図に表記されているので一度実機を見ておく必要がある。
 それで再度俺は某病院を訪問して,件の食器洗浄機の電家ボックスを開けて取り扱い説明書と配線図の収まっているはずのドアポケットを見てびっくりした。
 FTXは全てそこに取り扱い説明書と,配線図と簡単な故障診断マニュアルが収まっているはずなのだ,が、しかし、そこには何もない。数日前にはあったはずのものがないのだ。
 ボックスの内部は焼損したサーマルと電磁接触器が新品と交換されている。俺の製作したバイパスの開閉経路がそのまま手つかずなところが腑に落ちなかった。

 普通に考えてそれはこういうことだ。
 修理に現れた北沢産業はとりあえず持参したサーマルと接触器を交換した。同じ姿,同じ形状のものを交換するだけなのだからドライバー一本で片付く作業であって何も難しいことはない。
 当然そこで俺の施したものを目にしてはいるが恐らく現れたのは配線図をきちんと読める人間ではないので迂闊に手をつけていいものかどうかの判断がつかずにそのまま放置を決め込んだ。
 しかしその人物は,この仮処置を施したのが誰なのかについては見当がついた。これは特段,俺が特殊な能力の持ち主であることを意味しない。この業界はそれほどまでにレベルが低いし,この土地はそういう見当が簡単につくくらいの田舎町だというに過ぎない。
 そこでこの人物はある陰険な嫌がらせを思いついた。俺がその機体に寄り付かないようにという意図だろう,故障解析する時の手がかりになりそうなものを持ち去って北沢産業という会社を含め,自分だけにしかわからないようにしておこうという意図なのはほぼ間違いない。

 配線図も取り扱い説明書も本体の付属品であって使用者の所有物である。これを盗むのはれっきとした窃盗であり,犯罪行為だ。仮にも東証一部上場の企業が,たかだか食器洗浄機一台の修理を同業者に手がけさせたくないというだけの理由で窃盗まで働くのかと俺は頭に来るより先に悲しい気分になった。何と言う了見の狭さか。

 俺はいい加減モチベーションを失いかけて現場担当者の栄養士である委託会社の係長殿に状況を伝えた。当然ながら係長殿は付属資料が無断で持ち去られていることに激怒した。
 そもそも,それほどまでして同業者に触らせたくないのであれば土曜日くらいは修理依頼の連絡がつくようにしておくべきではないのかと俺に当たり散らすがこっちだっていい迷惑なのだ。
 
 このとき俺の中にはある予感が働いていた。
 この修繕の仕事は受注できない。北沢産業はどんな薄汚い手を使ってでも,会社ぐるみで俺をこの場面から排除しようとするだろう。
 同時にこんな事も考えた。俺はその委託会社の全面的な信頼を得るに至っていない。修理屋としてのレベルがどうだこうだ言ったところで結局俺のような野良犬はこの人達にとって心許ない存在なのだ。北沢産業などというのは業界内部にあってその業績は低落傾向の下げ止まりにある二流会社ではあるが,それでも俺のようないかがわしい自営業者と比較すれば数段信用できる地位にある,そういうことだ。

 自分の身の丈は承知の上でなお悔しいことではあるが世間の目とはそういうものであって,俺は甘んじなければならない。
俺は虚しい気分で二通の見積書を作成して提出し,予想通り修繕の仕事は北沢産業に発注された。恐らく幾ら安い見積りを書いたとしても俺のところには発注されなかったのではないかと思う。
 技術論やスキルとか修繕の費用以前の何かしら感情論のレベルで,北沢産業が俺を排除したい気持ちと委託会社の”自営業者はいかがわしい”という価値観が噛み合えばこういう展開は充分あり得ると俺は考えている。

 俺の商売としては,出口戦略としては仮処置に要した費用請求をどのようにまとめるかに尽きる。
どうせ野良犬稼業なのだ,それが売り上げになるだけでも良しとしておこう。
ごまめの歯ぎしりとか負け犬の遠吠えとか嘲笑したい方はして頂いて結構。
 負け惜しみではないが,仮にも一部上場の北沢産業という会社組織がたかだか野良犬自営業者一匹を弾き出すために得意先でかっぱらいまで働くという事実を確認することは出来たわけだ。

 だから俺はこの場で大っぴらにこういうことを言いたいのだ。
特にこのことは北沢産業のカスタマーに対して声を大にして言っておこう。
お宅の厨房機材を納品した北沢産業という会社は,
*土曜日の日中でも修理依頼の連絡がろくすっぽつかず
*現れる修理担当者は機械の配線図も満足に読めない程度のスキルしかない
*そのくせ,困った使用者が同業他社に修理依頼をすると機体から配線図を盗み出してでもそれを妨害しようとする  そういう会社だ。

喧嘩上等,というのが今の心境である。バブル時期から落ち目の三度笠,今や当時の年商の半分にまで落っこちた三流会社でも一発釣ってやるかw
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得意先で窃盗を働く北沢産業 [困った業者]

  そもそも厨房業界などというのは程度の低いクソ業界なのでロクデナシのサンプリングには事欠かないが、仮にも東証一部上場企業が得意先に於いて機材の付属品を盗んでくるという事実を目の当たりにすると、あらためて業界全体の品性を疑問視せざるを得ないわけだ。
 先週俺はそういう場面の当事者となって大いに頭に来る数日を過ごしていて、余りにも頭に血が上り過ぎて出来事をまとめることが出来ずにいたのだが、やっと本日になってこの一件を記事にしてネット上にぶちまけてやりたくなった次第だ。

 出来事は今月の9日のこと,場所は俺が毎度ご厄介になる某総合病院である。
俺は数日がかりの手間取るインチキ修理をその日何とか終わらせ,現場を撤収しようとしていたその時,調理員が食器洗浄機の様子がおかしいので調べてみてほしいとの依頼を持ちかけてきた。
 食器洗浄機はドイツホバートのFTXであり,これは5年ほど前に北沢産業が納入したものだ。現行型式名はFTNという呼称に変わっているかもしれないがそれはここでは問題ではない。
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画像は本文とは関係ありません

 現在その某総合病院の給食業務は外部委託されており,その洗浄機も委託会社が北沢産業より購入したものである。俺は北沢産業にとっては好ましからざる輩らしく会社勤めをしていた頃からだいぶ長いこと散々嫌がらせを受けてきたのでこういう依頼ごとは基本的に断ることにしているのだが,調理員は北沢と連絡がつかないので何とか頼むと懇願してきた。

 今日のものに出来る約束はしかねるが見るだけは見る、と俺は本体の表示を眺め、表示パネルに警報らしきアイコンが点滅しているのを認めた。
 制御ボックスを開けてみると4つ並んだサーマルリレーのうち一つがトリップしているのが目についた。
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 画像に則って説明すると左から右に向かって第一タンク用ポンプ,第二タンク用ポンプ,コンベアー,未使用という順番に接触器が並んでいる。
 破損箇所は左から二番目,ということは第二タンク用ポンプがサーマルトリップしていることを表しており,それを検知しての警報表示だったわけだ。
 サーマルのケースは変色し,その下の電磁接触器は接点が溶着とかなりの大電流がそこに流れたことを物語っていた。サーマルは手動復帰式であるがボタンを押し込んでもロックせず,正真正銘おシャカになっていた。
 負荷であるポンプのDCR(直流抵抗値)は低めで怪しいながらも導通は認められたので焼損箇所を復旧してみて出来事を解き明かそうと俺は考えた。

 使用されている開閉器類はEU規格の統一された外寸のもので全くの同一品は俺の住む田舎町の電材屋では在庫していないので代用品として一般的な富士電機の汎用品で焼損した回路とパラレルに増設を試みた。
IMGP0017.JPG

 右側に増設分を設けた画像である。元々ついているサーマルは補助接点が2bという少々変則的なもので,よく在庫商品にある1a1bの構成では回路の整合性が取れない。
 2回路のリレーを外部に増設するのが正攻法だが配線図を良く読んでみると連動するb接点二つはサーマルから電磁接触器に移動させても動作に変わりはないことがわかったのでコンタクター側に補助接点の増設ユニットを足して帳尻を合わせた,というところまではまだ良かった。

 試運転を行うと途端に焦げ臭い匂いとともに増設したサーマルがトリップした。
尋常でない気配を察して俺は復帰動作の後再度運転させてみたが今度は電磁接触器は開閉動作を行うもののポンプがウンともスンともいわないのである。
 外装板をはぐるとニスの焼けた匂いが漂ってきた。僅か数秒の運転でしかないのにポンプのモーターケースが生暖かいのが気になった。端子ボックスを開けてコイルの導通を調べると見事に三本とも断線している。制御パーツならまだ代用品で何とかならないこともないがポンプは代用が効かないので、俺の応急処置は敢えなく頓挫と相成った。

 症状の進行は以下の経過を辿ったことが憶測できた。
(1)何らかの理由によりモーターコイルのエナメルコーティングが劣化
(2)劣化の進行に伴い,コイルの層間短絡が発生した。
(3)層間短絡進行の過程で運転電流値が増し,マグネットスイッチの焼損,接点の溶着が発生
(4)開閉回路増設後の試運転に於いてモーターコイル自体の発熱によりコイルが断線

 ポンプの交換となると修繕費は安くないが、幸いなことに洗浄機は2タンク形式なので洗浄状態は不十分ながらとりあえず食器手洗いの局面は回避できる。対応は連休明けであることを説明して一旦俺は現場を撤収したのだった。(以下続く)
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毎度ながらのドタバタ [困った業者]

 一人親方の悲しいところで、遠出をして何日も地元をあけていると携帯電話には澎湃としてブーイングが殺到するが即時対応は出来ないので横つながりの仕事仲間に代役を頼むことになる。

 元の職場にて新製品のメンテ講習の最中に某施設から冷蔵庫の修理依頼の電話がかかってきた。

 慌てて中座し,状況を伺うと霜取りがうまく働かず,成長した霜(氷といってもいい)と庫内ファンがこすれてガリガリと結構物凄い音が出ているらしいとのこと。

 事情を説明すると先方は誰か代役を寄越してくれとの意向だったので俺は一旦電話を切り,何人かの仕事仲間に打診してみた。

 俺の人徳のなさがまず第一の理由なのだろうが,こういう時の世間の風は冷たい。
根本的には,これは霜取りの機能が働いていないのであってその修繕を行わなければならない。
但し便宜的な措置としては一旦冷却ボックスを分解し,解氷作業を行うことで一週間程度は誤摩化しが効く。

 便宜的な措置はドライバー一本とヘアードライヤーみたいなものがありあえすれば誰でも出来るのでその作業を何人かに打診してみたところ,誰もがひっくり返りそうなくらいのギャラを要求してくるのには参った。俺が想定しているよりも軽く3倍くらいの金額だ。
 しかもまるで口裏を合わせているかのように誰もが異口同音に同じような金額を口走る。

 俺は人間社会に対する不信感を募らせる。人の足元を見る,とはこういうことを言うのだとやきもきした。何故だか知らんが人の手が回り切らないのをいいことに今を先途とばかりに好き放題の言い値を突きつけてくる輩が大変多いのはこの業界だけだろうか?俺は頭にきてそれらは全部断り,呼吸を整えてから再度得意先に連絡を入れた。

 俺はまず、翌日日曜日には修理にお伺いして結着を付ける旨を伝えた。
それから口頭で,設置先にある冷蔵庫の冷却器ボックスの構造を伝え,堆積した霜の解凍の仕方を説明した。電話の相手は栄養士であるところの女性である。
 彼女は俺の指示通りにドライバーとヘアードライヤーを用意し,冷却器のボックスの分解に取りかかった。

 しばらくして電話の向こう側で『あった!見えました!』という栄養士殿の弾んだ声がした。俺には見えないが彼女は霜取り機能がいかれて氷の塊になった冷却器を,恐らく生まれて初めて目の当たりにしているのである。
 そこにドライヤーの温風を当てて氷を溶かして頂きたい,ひとまずそれで騒音は回避できて数日間は大丈夫なのでその間に修理は済ませます。と俺は伝え,電話を切って一息ついた。明日日曜日には修理に赴くことになる。

 俺はこの栄養士殿をまずは手放しで賞賛させて頂きたい。
翻って人の足元を見てこすっからい真似をする連中には・・・・・書くのもあほらしい気分である。
立場が逆だったらこの連中はどう思うのか。どう行動するのか。
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廃却品の行方 [困った業者]

 同業者,とも思いたくない業者から依頼が一件。

スチームコンベクションオーブンの中古品があり,運転時に異常音が出るのと操作方法や設定がわからないので試運転説明を兼ねて時間を取ってくれとのことだった。 現場は市街地にある某ファミレス。

 メーカーはラショナル製,モデル名はCE-6といい、庫内湿度コントロール機能を備えた最初の機種である。生産終了は確か12年くらい前だったと思う。
 当時は現在と違って,ラショナルのオーブンには機能ごとに三つのグレードがあり,CE-6は最上位機種だったが非常に高価で,会社員だった頃の俺の実績としてはなかなか売れない機種だった。良く売れたのは真ん中のグレードのCMというタイプだったか。

 機体の内部を見ているとあちこち水系統の配管に不具合があったりと経時劣化の形跡はあったのでちょこまかと手直しに勤しむ。異常音の原因はコントロールボックス冷却用のファンモーターの軸受け劣化であり,機能に直接甚大な悪影響をもたらすものではないので補修パーツが届くまでの間は一旦切り離して自然冷却状態での稼働となる。
 
 そんな風にしてあれこれ見ているうちに俺はなんだか訝しい気がし始めた。
その個体には幾つか修理の形跡がある。10年以上も前の機種なのだからそりゃ運用期間中に故障は何度か起きるだろう。問題なのはその修理跡に心当たりがあるのだ。
 内部配線の末端処理や結束処理,配管接続に使っているシール材,などなどなんだか俺のやり方に似ているなあと思えたのだ。そして記憶を辿るうちに12年前のことが思い出された。この個体は俺が会社員だった頃の12年前,地方の某町立病院が移転新築するときにレイアウトプランの中に落とし込まれて納入されたものだ。12年前に俺がある町立病院に納入した個体だったのだ。
 補修跡の箇所と俺の頭の中にある修理の履歴は確実に一致した。間違いない。

 しかし何故だ?何故この個体はここにあるのだ?
スチームコンベクションは実売価格から言って間違いなく固定資産として台帳に記録される物品だ。減価償却期間はとうに過ぎているとは言え,廃却処分されない限りは簿価ゼロの固定資産として台帳にとどまり続けるのだし,役所の固定資産ともなれば今日日必ずと言っていいほど廃却に伴ってマニフェスト伝票の提出が求められる。つまりこの個体は本来,というか法的に言えば産業廃棄物として始末されていなければならないはずの物体なのだ。何故それがこのファミレスに中古オーブンとして納められているのか?

 ここで俺はあることに思いあたった。
俺が会社を辞めて商売を開業指定から幾らかの間,その町立病院には出入りがあったがその後は幾つかの厨房メーカーがつまみ食い的に入り乱れるようにして取引を始めたらしい。取引業者としての俺はフェードアウトしていったわけだがその後の経緯は俺の元の勤務先の所長から断片的に聞かされることがあった。
 俺のサポートから離れて数年,このスチコンは複数の厨房屋が自分にわかりそうなところだけつまみ食いみたいにして修理対応していたらしいのだが10年稼働したのをきっかけに役場に対してリプレースの予算要求が出たらしい。
 それで市内の厨房屋数社から見積書の提出が行われ、結果某社が受注することとなった。残念ながら俺の元の勤務先は役場からのお声掛かりはあったものの失注した。後任の所長が作って頂いた実績を崩してしまって申し訳ないと凹んでいたのを俺は覚えている。

 ここから先は俺の憶測まじりの成り行きだ。
 俺に依頼して来た某同業者はこの某町立病院にてスチームコンベクションの受注が取れた某厨房屋の協力会社でもあるのだ。
 恐らく彼は,このスチームコンベクションオーブンをリプレースする搬入工事に手伝いとして立ち会って廃却品を引き上げて来た。
 理由はさておき,その役場は納入業者である某厨房屋にマニフェスト伝票の提出を求めていない。そして某同業者はそのことを知ってか知らずか、とにかくこの産廃物を売っぱらって金に換えることを思い立ったのだろう。とどのつまりこれは一種,町の固定資産の横流しではないのか。
 原価ゼロである産廃物を横流しすることで彼が一体どれだけの金を手にしたのかはさておき,納入して電気や配管の接続工事を済ませてみたものの、いざ動かしてみて不具合が出た。知識のない彼はそれで慌てて俺のところに電話をかけて寄越して来て尻拭いを図っている。そういうことではないのか。俺はこの憶測にかなりの確信があるのだ。

 当日,現場ではその同業者が居合わせたので俺はそれとなく、この機体には見覚えがあり,12年前に某病院に納めたものに思える,と伝えると彼の顔色は一変した。
 その後のやり取りについてはここでは書かない。

 それにしてもいい度胸だ。マニフェスト制度の違反に対しては排出業者に対して罰則規定があったはずなのだが覚悟の上でこういうことが行われているのだろうか。

 このテキストはもしかしたら何らかの波風を立てることになってしまうのだろうか,と思いながら俺は今文章を続けているのだ。
 某町立病院の給食室は色々な意味で思い出深い現場だ。レイアウトプランも機種選定も現場施工もその後の修繕も一貫して俺が携わって来た。
 非常に予算の厳しい現場だったが当時,何としてもこの際スチームコンベクションオーブンは導入したいという準備室の意向をくむために俺は工場と掛け合い,たまたまモデルチェンジのためにカタログ落ちしてしまった旧機種であるCE-6の工場在庫品を物凄く安い営業所仕切りで出してもらうことで予算内に収めた経緯がある。
 だからこのテキストにはどうしても心情的なものが入り込んでくるし,それは俺の職業意識の未熟さや青臭さなのだと一笑に付される性質のものなのかも知れないがやはり書かずにはいられない。

 何とも言えず入り組んだ気分だ。
取引先として段々疎遠になっていき,今は用なし業者となってしまった腹いせでこういうことを書いているわけではない。
 既に書いたように,ちょっとした経時劣化の処置をとればまだまだ使える機体なのだ。補修費用など一回か二回の飲み代程度でケリがつく。
 そんな程度の状態でしかないのに10年稼働したというだけの理由でリプレースを煽り立てる厨房屋の姿勢。また,製造元でもない上にロクに技術的なバックボーンがあるわけでもない三文業者の口車に簡単に乗せられて金を出す役場の姿勢,これに加えて固定資産の廃却にあたってマニフェスト伝票の提出も求めない資産管理の杜撰さ,ある意味これは税金の無駄遣いであり,町民に対する背任行為ではないのか。
 最後に,産廃物でしかない物体を中古品と称してあぶく銭をせしめる中古厨房機材業者の薄汚いハイエナ根性。しかも彼は自分でそのオーブンを修理するだけの知識も腕もないのだ。
 おまけだ。
 その同業者が余程の信頼を獲得しているのだろうから他人の俺が脇からとやかく言うべき筋合いのものではないがしかし,このスチコンが現在納まっているファミレスの経営元は,そういう出自の機体であるということを知ったらどう思うのだろうか。
 恐らく,俺には直接関係のないことなんだ,不法投棄されるよりはマシじゃねえか,とか言った程度のように思える。来歴なんかどうだっていいからとにかく安けりゃいいんだというバイヤーが業務用厨房機材の世界には物凄く多い。いつもあれこれ考えるのだがこの業界は循環論のようにして,それに関わる全ての段階の人たちがとにかく浅ましい。そういう輩が大変多い。

 ゴマメの歯ぎしりみたいな文句を垂れ流していてもこの業界の色合いが変わることはない。腐った世界だが俺はここで食い扶持を稼いでいかなければならない。
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あるとき気づいた作業従事者の傾向 [困った業者]

 某病院に納まっている2槽シンクの修理でのこと。
使用年7年強で,シンクボウルを支持する補強用のアングルの溶接が取れて危なっかしい状況となっていたので修繕することにした。
M社二槽シンク.jpg

画像は本文とは関係ありません


 本当であれば修理品は一旦引き上げて鍛冶屋に持ち込み,破損箇所の溶接をし直すのが望ましいのだが依頼元と得意先のやり取りでは補強材を取付けることによる現地補修という落としどころとなった。 依頼元の作業内容説明を聞いている分には『ほんとにそれで大丈夫なのかね?』という処置法だが俺が直接取引している得意先ではないので文句を言っても仕方がない。要は金になればいいかと割り切って当日現場作業に臨んだ。作業員は俺と依頼元メーカーのサービスマンの若い衆との二名。

 待ち合わせ現場に現れた若い衆はステンレス角パイプの加工品である補修部材以外にはなんにも持たずに手ぶらである。その様子から俺は若い衆のやる気のなさを読み取った。
 配管を切り離してシンクを取り外し,作業に取りかかると若い衆の手つきがなんだか心許ない。見るとシンクの脚である丸パイプにピアスビスを立て込もうとして四苦八苦している。
 ピアスビスは確かに板金の作業を革新した大変有り難い部材であるがしかし,幾らなんでも厚みが1.2mmの丸パイプに下穴も開けずにいきなり立て込めるほどステンレスという材料はヤワじゃないのだ。この辺は若い衆の経験不足と見えた。作業を見ているとどうも,ポンチングの習慣がなさそうだ。

 補修部材の角パイプに穴を開けてもらうことにして俺の商売道具を渡してしばらく経つと若い衆が何やら憮然としている。見ると若い衆は俺の道具箱に入っていたドリルの刃を次から次からへし折っており,作業がさっぱり進んでいない。穴を一つ開けるためにドリルの刃を二本づつくらい折っておる。
 脚部分の丸パイプのような局面に穴を開けるのはちょっとしたコツが要るのでこれは無理かと思い角パイプの穴明けを任せていたのだがそれもうまくいかなさそうなのだ。
 
 どうせ錐先(ドリルの刃)をバンバン折るのだったら自分の持ち物でやって欲しいもんだ,と、俺は腹の中でモヤモヤした気分を膨らませる。
 仕方がないので俺はとっておきの錐先を渡した。コバルトハイス、チタンコーティング,3.3mmで一本確か二千円以上したもので、購入以来5年くらい折に触れて使っているが未だに刃先が鈍る気配がない。もう,これでヘタを打つようだったらそいつの腕が悪いとしか言いようがないくらいの高級品だ。
TOL-2382.jpg

画像は本文とは関係ありません

 
 ところが若い衆はこれさえも一個の穴をあけもしないうちに簡単に折りやがったのでさすがに俺はムカムカするものを押さえきれなくなってきた。
 大したギャラにもならなさそうな板金製品の修理で若造のへし折った俺の錐先の金額は金に直すと大体四千円近くにもなるのだ。そりゃ頭にも来ようってものではないか。
 若い衆はさすがにばつが悪かったようで折った分の錐先は弁償するから請求書を上げてくださいと低姿勢で来たので俺も矛先を引っ込めた。

 作業が片付いて現場を撤収し、帰宅の途中で少し考えことをした。
若い衆のドリルの使い方のヘタクソさは嘆かわしい。しかしこの俺にしたって彼と同じくらいの年齢の頃は同じか、もしかしたらそれ以上にへたくそだったような気がするのだ。

 結論を先に書く。
 メーカーのサービスマンというのは概して電動工具の扱いがヘタクソだ。何故かと言うと普段の作業がハンドツールばっかりで終わるような内容のものが大多数だからである。単純に,扱い慣れていないのだ。
 電動工具の扱いが手慣れているのはむしろ納品現場を多く手がける施工関係の従事者だが,こちらは逆にハンドツールの扱いがなっていない。所持している道具は精度の悪い安物ばっかりだしドライバーとモンキーレンチとプライヤー以外のハンドツールは横着して使いたがらない。全般に稼働後のことは考えていないのでネジ類の扱いが雑で作業跡が汚い。こちらはこちらで困った性質がある。

 以前書いたかもしれないが,この業界の技術職では,修理をやっても現場施工をやっても一流という人材はいない。少なくとも俺はそういう人をまだ見たことがない。向上心があって腕を磨きたい人はそうなる以前の段階で厨房機材メーカーではない別の業種に転出してしまう。必然的に万能選手は奇跡的な確率でしか業界に残らないので後進も育たない。これは業界の誰もが臭いものに蓋をしたい現実である。

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